VIRTUAL ART BOOK FAIR
今年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡⼤防⽌の観点から東京都現代美術館での TOKYO ART BOOK FAIR(TABF)の開催を⾒送り、11 ⽉ 16 ⽇(⽉)から23 ⽇(⽉・祝⽇)まで、東京都現代美術館の建物をインスピレーション 源としたバーチャル空間でのアートブックフェア VIRTUAL ART BOOK FAIR(VABF)として開催いたします。
TABF では、2015 年より毎年ひとつの国やエリアの出版⽂化に焦点を当てる連続企画「Guest Country」をスタートしました。これまでにスイス、ブラジル、アジア 4 カ国(中国、韓国、台湾、シンガポール)、アメリカを特集。それぞれの特徴に合わせたプログラムを⾏ってきました。VABF でも「Guest Country」を継続し、第 5 回を迎える本企画でフィーチャーするのは、デザイン⼤国オランダです。オランダの出版社やアーティストが VABF に出展する他、オランダのアートブックシーンを紐解く4つの展覧会やトークショーを開催いたします。
アートブックフェアとは
アートブックやアーティストブック、ZINEなどを製作する個人、グループ、企業などがブースを持ち、来場者と直接交流しながら書籍の売買を行うイベントです。出展者は個人のアーティストからアート系出版社、ギャラリー、書店などさまざまです。多様な表現に触れることのできる機会となっており、また、書籍という比較的手に入りやすい価格帯のものを取り扱うことで、アートに触れる入り口として絶好の機会にもなっています。
展示
EXHIBITION 1: “Best Dutch Book Designs”
1926 年に設⽴された「Best Dutch Book Designs(BDBD)」は、ヨーロッパで最も⻑い歴史をもつオランダのブックデザインアワードです。オランダ⼈もしくはオランダを拠点とするデザイナーによって作られたアートブック、児童書、料理本など幅広いジャンルを対象としています。本展では、ハンス・グレメンがデザインしたアンドレ・ゴンザレスの『American Origami』、樋⼝歩が⼿がけた桑原真理⼦著『Burning Love』をはじめとする 2019 年の受賞作 33 点をご紹介します。
協⼒:Stichting De Best Verzorgde Boeken
■ 関連トークショー 「The Best Dutch Book Designs - オランダのブックデザインをめぐって」
⽇時:11 ⽉ 20 ⽇(⾦)16:30-18:00
本トークでは、BDBD 代表のエステル・ショルテン/Esther Scholten、選考委員会議⻑のエールコ・ファン・ウェーリ/Eelco van Welie(NAI010 Publishers ディレクター)と、グラフィックデザイナーのトマス・カストロ/Thomas Castro(アムステルダム市⽴美術館グラフィックデザイン部⾨キュレーター)をゲストとしてお招きします。オランダのブックデザインの歴史や、どのような点に着⽬して審査しているのかなどを話していただきます。Web サイト『The Graphic Design Review』編集⻑である室賀清徳がモデレーターを務めます。
*⽇本語字幕⼊りの事前収録した約 1 時間のトークを配信した後、17:30 より BDBD 代表のエステル・ショルテンとの Q&A セッションを予定しております。
EXHIBITION 2: “Dutch Artists’ Book: Then and Now”
2019 年に作り⼿たちの⾔葉によって⽇本におけるアートブックの進化を紐解いた「Japanese Artists’ Book Then and Now」のオランダ版。今回は現代のオランダ出版⽂化を牽引するキーパーソンたちのアートブックとの出会い、またその原体験がどのように現在の制作へと繋がっているかを尋ねたインタビュー動画とともに、彼らが影響を受けた本と⼿がけた多様な印刷物をオンライン上でご紹介します。インタビューでは、どのようにオランダのアート出版が豊かな発展を遂げたのか、アーティスト、デザイナー、書店の関係性、アイデアを本というプラットフォームに落とし込むユニークなアイデア、コロナ禍におけるクリエイティビティの役割などがパーソナルな経験とともに語られています。
■ 参加予定のアーティスト&デザイナー
アーマンド・メーフィス(Mevis & Van Deursen)
イルマ・ボーム/Irma Boom
エクスペリメンタル・ジェットセット/Experimental Jetset
エリック・ケッセルス/Erik Kessels
カレル・マルテンス/Karel Martens
クララ・ヴァン・ダウクレン&ヴィンセント・スキッパー/Klara van Duijkeren&Vincent Schipper(Studio The Future)
クリスチャン・メンデルツマ/Christien Meindertsma
ハンス・グレメン/Hans Gremen(Fw: books)
マーク・マンダース/Mark Manders
ヤン・フォス/Jan Voss(Boekie Woekie)
ルース・ファン・ビーク/Ruth van Beek
ロジャー・ヴィレムス/Roger Willems(Roma Publications)
EXHIBITION 3: fanfare “Unlearn, Display, Connect”
グラフィックデザインにおける様々な分野を横断するためのプラットフォームを⽬指すデザインスタジオ fanfare が企画する展覧会。デジタル化によって⽂化や国境を超えた出版が活性化する現代における「オランダデザイン」とは何か。その問いに答えるために fanfare は「Learning(学習)」「Displaying (陳列)」「Connecting(接続)」というキーワードを設けました。それぞれのキーワードごとに⾏われた⿍談や作品展⽰を通じ、今⽇のオランダにおけるグラフィックデザインを探求します。
協⼒:fanfare
EXHIBITION 4: Rafaël Rozendaal “Shadow Objects Sculpture Park”
VABF のメイン会場は、東京都現代美術館を模した建物です。その”屋外”には、ネットアートのパイオニアとして活躍するオランダ⼈アーティスト、ラファエル・ローゼンダールによるデジタル彫刻「Shadow Object」が並ぶ公園が広がります。デジタル素材からオブジェクトが切り抜かれ、オブジェクトの不在によって⽣成された「Shadow Object」は、イメージ、オブジェクト、ドローイング、彫刻の間を横断する作品として成⽴しています。これまでローゼンダールは、デジタルとフィジカルを最短距離でつなぐ⼿法として、⻑⽅形のスチールプレートをコンピューターによってコード化された形で切り抜き、フィジカルな作品として「Shadow Object」を発表してきました。VABF では、来場者がブラウザ上の公園を⾃由に動き回ることによってインタラクティブになる、⼤規模な空間インスタレーションとして展⽰します。
オブジェクトが切り取られたスペースに光が差し込み、芝⽣に影を落とすことで、不在であるイメージが浮き上がってきます。デジタルの領域ではその影が⾮物理的で仮想的なモノに存在感を与え、グラフィックソフトによってマスクと背景、オブジェクトの有無を瞬時に切り替えることができます。新作「Shadow Objects Sculpture Park」では、オブジェクトの不在とその影が⽣み出す「Shadow Object」を通して、私たちが⽇々触れているオンライン上の喧騒や情報過多に対抗しています。
協⼒:Takuro Someya Contemporary Art
VIRTUAL ART BOOK FAIR @ 東京都現代美術館
東京都現代美術館のホワイエには11月17日(火)~23日(月・祝)の期間、VABFの楽しみ方をご案内する体験コーナー、クラウドファンディングプロジェクト「VABF KIOSK」のリターンアイテムが並ぶブースが設置されます。VABFのインスピレーション源である、東京都現代美術館のなかでVABFを閲覧するのは、リアルとバーチャルが交差する新しい体験になるかも!?またVABF会期中には、「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」、「MOTアニュアル2020 透明な力たち」が開催されています。展覧会とあわせて、VABFブースにもお立ち寄りください。
場所:東京都現代美術館 ホワイエ
日時:11月17日(火)~23日(月・祝)10:00-18:00
基本情報
- 日時
2020年11月16日(月)- 23日(月・祝) 11:00-19:00 JST(コアタイム)
- 共催
一般社団法人東京アートブックフェア、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
- 協賛
富士ゼロックス株式会社、三菱地所株式会社、株式会社イニュニック、理想科学工業株式会社
- 助成
オランダ王国大使館、DutchCulture オランダ国際文化協力センター
- 協力
Creative Industries Fund NL、オランダ文学基金、モンドリアン財団、Aēsop
地域関連イベント
当館近隣の江東区深川エリアを舞台に、地域の方々が自分自身の思いを込めて立ち上げたまさに「手作り」のアートプロジェクトです。同時期に開催されるVIRTUAL ART BOOK FAIR(VABF)と連携し、開催されます。
自らが住む街の歴史に目を向け、戦災や水害の記憶にも向き合いつつ、民家の一室を用いた作品の展示や小名木川で開催する船上ライブなどのリアルイベント、ダンスと音楽のオンライン配信など様々なプログラムを森下から清澄白河、門前仲町に至る広範な地域で展開します。
江戸期から水運に利用された運河で栄えた深川エリアに立地する当館では、敷地内にある水と石のプロムナードなど水にまつわるイメージが建築のなかにも取り入れられています。「本と川と街」と題したこのプロジェクトに協力することは、美術館が立地する場所を改めて見つめ直すことにつながります。そして、地域に根差す美術館として、相互に自立した新たな地域連携の在り方を目指すとともに、本年はヴァーチャルのみの開催となったものの東京アートブックフェアと共に開催していくことで、街の賑わいを生み出す契機のひとつとなることを願っています。
会期:2020年10月31日~11月29日
「本と川と街」公式ウェブサイト:https://www.honkawamachi.com/
プログラムのスケジュールと展示場所はこちら(PDF)
主催:「本と川と街」実行委員会
共催:公益財団法人東京都公園協会、隅田川マルシェ実行委員会
協力:TOKYO ART BOOK FAIR、東京都現代美術館
NPO法人 江東区の水辺に親しむ会、高橋商店街振興組合、深川資料館通り商店街協同組合、松林院華厳院、LYURO 東京清澄、KAIKA 東京、(株)キョーダイ社、 下町探偵団、(有)フリップ、note architects、hage、gift_lab、(株)森木ペーパー、舟遊びみづは、夢観月、深川美楽市実行委員会、深川界隈の寺院、ヱビス印刷工業(株)、江戸東京旧水路ラボ本所支部、暗渠マニアックス、BOOKSりんご屋、あずま屋文具店
「本と川と街」ウェブサイトより
江戸時代からたくさんの運河と水運で栄えてきた深川は、これまでのおよそ400年の間に火事や地震、戦争とさまざまな災害を経験してきました。その度に街を再建した根気強い住民たちの思い、そして生活や文化のレイヤーが幾重にも重なり今があります。また、庶民が多く暮らしていた地の自由な気風は脈々と受け継がれ、新しい文化も生まれています。
気候変動やパンデミックがある現在、私たちは何を感じ取り、どのような表現で街にレイヤーを重ねていけるでしょうか。このアートプロジェクトは、「本」という記憶媒体を軸に改めて風土と向き合い、街を提案します。