山口小夜子
未来を着る人神秘的な東洋の美を体現するトップ・モデルとして、世界のモードを席巻した後も、「着ること」をテーマに異なるジャンルを横断するクリエーター、パフォーマーとして活躍した山口小夜子。 晩年には若い世代のアーティストたちとのコラボレーションを行い、最後まで時代の最先端を走り続けた彼女の軌跡が、2 0 1 5 年春、展覧会としてよみがえります。
生西康典+掛川康典「H.I.S Landscape」(「六本木クロッシング」出品作品、森美術館)2004年
1970年代初頭より、アジア人初のトップ・モデルとして世界を舞台に一世を風靡するとともに、国内に向けても日本女性の新たな美を提示した山口小夜子。 彼女が晩年の数年間、若い世代の表現者たちと、ファッション、音楽、映像、演劇、朗読、パフォーマンス、ダンスなどが混在する実験的な試みを行っていたことは、これまで十分に紹介されてきませんでした。 本展覧会は、彼女の生涯を振り返りつつ、常に時代の先端を走り続けたその遺伝子を未来へと渡すものです。 その軌跡を通して、世界を視野に独自性を形成していった70年代以降の日本文化の、極めて重要な一断面が明らかになるはずです。
本展はふたつの要素が入り組んだものとなります。 ひとつは、コラボレーションを通じて、世代やジャンル、東洋と西洋、オーバー・グラウンドとアンダー・グラウンドなど、異なるものを繋ぎSAYOKOというひとつのジャンルを打ち立てたと言うべき山口小夜子の軌跡を、アーカイヴとともに辿るものです。
もうひとつは、宇川直宏、山川冬樹、生西康典、掛川康典、エキソニモという、彼女の身辺で活動した後、現在のシーンにおいて大きな影響力を持つ先端的な表現者たちが、小夜子に捧げる新作インスタレーションです。 また、小夜子の急逝の直前に、新聞紙上で往復書簡を予定していた森村泰昌も、彼女に捧げる新作を出品します。 小夜子自ら自由にリメイクし愛着を伝える旧蔵の服など、「ウェアリスト(着る人)」と名乗った彼女の美意識も存分に紹介します。 小夜子の声、姿、気配が充満する空間で、彼女の未だ終わらない物語を体感してください。
みどころ
■ 雑誌や写真、スクラップブック、人形などの秘蔵資料、長らく専属モデルを務めた資生堂のアーカイヴにより、「SAYOKO」のイメージはいかにして作られたのかを探ります。
■ 小夜子をミューズとした数々のデザイナーの作品や、彼女が所蔵していた服を小夜子マネキンによって展示し、「ウェアリスト」と名乗り、「着る」ことをパフォーマンスにまで高めた小夜子の創造性に迫ります。
■ ファッション写真からアート作品まで、被写体としての小夜子の魅力を紹介します。
■ 寺山修司から2000 年代のアンダーグラウンドカルチャーまで、常に時代の最先端とコラボレーションした、パフォーマー、クリエーターとしての小夜子の軌跡を辿ります。
■ 小夜子が晩年の数年に展開した、音、映像、ファッション、文学等が一体化した総合芸術ともいえるパフォーマンスを、高画質映像によって蘇らせます。
■ 晩年に彼女とコラボレーションを行った先端的なクリエーターたちによる、小夜子をモチーフとした新作映像作品(飴屋法水ほか出演)、インスタレーション等により、会場中に小夜子の気配、姿、声が点在する体感型の空間を展開します。
出品作家
生西康典+掛川康典
宇川直宏
エキソニモ
森村泰昌
山川冬樹
主催
公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
特別協賛
株式会社 資生堂
協賛
ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜、日本テレビ放送網
協力
オフィスマイティー、神戸ファッション美術館、株式会社七彩、多摩美術大学映像演劇学科、
株式会社プリズム、株式会社エディスグローヴ、WHITELIGHT.Ltd、
株式会社 MGS 照明設計事務所、株式会社 モデュレックス
山口小夜子 (1949-2007)
1972 年にファッションモデルとしてパリ・コレクションに参加して以来、圧倒的な存在感で瞬く間にトップモデルとなり、パリおよびニューヨーク・コレクションで活躍。1973 年より資生堂の専属モデルとして、日本人女性の美を国内外に印象付ける。1974 年にはアメリカ、ニューズウィーク誌に「世界の4 人のトップ・モデル」として紹介され、77 年には「SAYOKO」マネキンが世界各国のショーウインドーを飾るブームとなる。 同年、寺山修司の舞台「中国の不思議な役人」に出演。 以来、女優としても多数の舞台、映画に出演。1986 年に山海塾とともに写真・映像作品「月/小夜子」を制作。 1987年からは勅使川原三郎のダンスカンパニーKARASに参加(1996 年まで)。 1989 年にNHK映画ファンタジー「カルメン」で国際エミー賞公演芸術部門優秀賞を受賞。 その後、山海塾のオペラで衣装デザインなどを行ったほか、結城座とも人形デザインなどのコラボレーションを行うなど、クリエーターとしても数々の舞台に参加。2001 年には神戸ファッション美術館にて、各デザイナーが彼女にインスパイアされた作品を展示する「モーリの色彩空間 Part.5 小夜子」展が開催される。 2000 年代に入り、六本木SuperDeluxe などのアンダー・グラウンドなスペースを舞台に、ファッション、映像、音楽、文学、舞踏など諸表現が融合するパフォーマンスを展開。 生西康典、掛川康典、山川冬樹、宇川直宏、藤乃家舞、A.K.I.PRODUCTIONS、UA らとコラボレーションを行う。 2007 年急逝。
撮影:下村一喜 2005年
生西康典+掛川康典
演出家の生西康典と映像作家の掛川康典の二人によるユニット。 2003 年ごろから最晩年まで、山口小夜子と数多くのコラボレーションを繰り広げた。 「六本木クロッシング2004 日本美術の新しい展望」(2004 年、森美術館)、「weaving imagination #01」(2004 年、川崎市市民ミュージアム)など。
撮影:高木由利子
宇川直宏
1968 年生まれ。映像作家、VJ、グラフィックデザイナー、大学教授、現在美術家など多数の肩書を持ち、大衆文化と芸術の間の領域を自由に渡り歩く。 2010年の立ち上げ以来、現在に至るまで月~木の毎夜開催されるライブストリーミング・スタジオ兼プログラム「DOMMUNE」は驚異的なビューワー数とともに、各界に多大な影響力を持つ。 山口小夜子とは藤乃家舞とともに、音楽ユニット「SUNZU」を結成。
エキソニモ
千房けん輔と赤岩やえによるアートユニット。 インターネットが普及し始めた90 年代から、これを素材として扱い、バーチャルとリアルの境界を可視化するなどの作品で、現在に至るまでメディア・アートの領域を牽引し続けている。 2006 年にはアルス・エレクトロニカにおいて大賞を受賞。 山口小夜子がいち早く注目し、雑誌等で紹介した。
森村泰昌
1951年生まれ。1985年から今日に至るまで、一貫して「自画像的作品」をテーマに作品を作り続ける。 「空想美術館/絵画になった私」(1998年、東京都現代美術館他)をはじめ国内外で多数の個展、グループ展に参加するほか、「ヨコハマトリエンナーレ2014」ではアーティスティック・ディレクターを務めるなど、幅広く活躍を続けている。
山川冬樹
1973 年生まれ。 音を媒介に身体の領域拡張を試みつつ、美術、音楽、舞台芸術など領域を横断しながら活動する表現者。 トゥバ共和国の歌唱法「ホーメイ」の名手としても知られる。 代表作「The Voice-Over」は東京都現代美術館収蔵。 山口小夜子とは「あ・お・い」(2006 年、パラボリカ・ビス)などのパフォーマンスで共演している。
撮影:高木由利子
関連プログラム
Be Sayoko! 小夜子になりたい!
-見るだけではなく、内側から小夜子を体感していただくイベントです。
■小夜子が習ったダンス・メソッド、伊藤道郎の「テン・ジェスチュア」を体感するワークショップ
ダンスを学んだことがなくても楽しめます!
講師|柏木久美子
日時|2015年5月31日(日) 14:00-15:30
場所|東京都現代美術館 講堂 B2F
定員|20名様
※イベント当日、11時よりエントランス付近にて整理券をお一人様1枚、配布します。
参加費・入場|不要。 ただし、当日有効の本展チケットの提示が必要です。
■小夜子メイクを完成させたアーティスト、富川栄によるメーキャップ・ワークショップ&トーク
講師|富川栄 (資生堂 SABFA校長)
日時|2015年5月16日(土) 14:00-16:00
場所|東京都現代美術館講堂 B2F
定員|100名様
※イベント当日、11時よりエントランス付近にて整理券をお一人様1枚、配布します。
参加費|不要。 ただし、当日有効の本展チケットの提示が必要です。
小夜子 光と闇の夜
「山口小夜子 未来を着る人」展関連イベントとして、小夜子に捧げる夜会「小夜子 光と闇の夜」を開催します。
古典的な美のミューズである一方で、常に新しくオルタナティブな表現の追究者でもあった山口小夜子。そのスピリットを彼女と分かち合い、ともに活動したミュージシャン、映像作家、ダンサーたちが一堂に会し、その濃密な表現世界をよみがえらせます。一夜限りの豪華な競演をお見逃しなく!
日時|2015年5月30日(土) 18時半開場 19時開演
主催|東京都現代美術館
場所|東京都現代美術館エントランスホール
出演者|
A.K.I.PRODUCTIONS、宇川直宏(with ハチスノイト)、PLASTICS(立花ハジメ、中西俊夫)、黒田育世、伊東篤宏、灰野敬二、生西康典×掛川康典(飴屋法水、萌(Moe and ghosts)、藤田陽介)、山川冬樹
料金|3,000円(オールスタンディング)
販売方法|チケット販売アプリPeatixにてご購入ください。 ※外部サイトに飛びます。➞Peatixi
当日券のみ、東京都現代美術館チケットカウンター(10時~18時50分まで)でも販売いたします。
※当日券は数に限りがありますので予めご了承ください。
当日に限り、「山口小夜子 未来を着る人」展をご観覧いただけます。
Peatixのアプリ画面を入口でお見せください。
※ただし閉館時間は18時です。
担当学芸員によるギャラリーツアー
日程
①2015年4月22日(水)
②2015年5月9日(土)
③2015年5月20日(水)
④2015年6月3日(水)
時間|各回 15:00-16:00
場所|東京都現代美術館 企画展示室B2F
参加費|不要 (但し、当日有効の本展のチケットの提示が必要です。)
※企画展示室B2F入口にお集まりください。
*関連イベントに関しての追加情報は随時、本ページにて更新致します。>
基本情報
- 会期
2015年4月11日(土)―6月28日(日)
- 開館時間
10:00〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで
- 休館日
月曜日(5月4日は開館)、5月7日(木)
- 会場
東京都現代美術館 企画展示室B2F
- 観覧料
一般1,200円(960円)
大学・専門学校生・65歳以上900円(720円)
中高生600円(480円)
小学生以下無料(保護者の同伴が必要です)
※( )内は20名以上の団体料金 ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)は無料です。 ※毎月第3水曜日は65歳以上の方は年齢を証明できるものを提示していただくと無料になります。 ※本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。 ※同時開催の「他人の時間」展とのセット券もございます。
★「山口小夜子」展345 DAYスペシャル★
5/3, 4, 5, 6/3, 4, 5(各日先着100名)に
小夜子さんの写真付きチケットを限定販売!
詳しくはこちら- 展覧会書籍
山口小夜子の豊富な写真資料のほか、論考、ゆかりの人物のエッセイなどを多数含む没後初めての本。
論考|石井達朗、藪前知子
エッセイ|松岡正剛、富川栄、天児牛大、中西俊夫、生西康典、山川冬樹、高木由利子
デザイン|松本弦人
発売|河出書房新社
B5版並製/216ページ
価格|2700円+税
ISBN| 978-4-309-27588-8- アクセス
東京メトロ半蔵門線・清澄白河駅B2番出口より徒歩9分
都営地下鉄大江戸線・清澄白河駅A3番出口より徒歩13分- 美術館お問い合わせ
03-5245-4111(代表)
03-5777-8600(ハローダイヤル)- 同時開催
「他人の時間」
2015年4月11日(土)―6月28日(日)「MOTコレクション『コレクション・ビカミング』」
2015年1月24日(土)-6月28日(日)「トーキョーワンダーウォール公募2015 入選作品展」
2015年6月6日(土)-6月28日(日)