「翻訳できない わたしの言葉」展関連プログラム
新井英夫×ササマユウコ×板坂記代子 ラウンジトーク「夏至の午後3時に会いましょう」
「翻訳できない わたしの言葉」展参加アーティストの新井英夫さんを含む、障害福祉の現場で「ケア×アート」のワークショップを重ねてきたコレクティブ仲間3人によるトークセッションです。「ケア×アート」の現場で何が起きていたのか、何を大事にしていたのかを、それぞれの視座(聴座)から言葉にしてみる試みです。「きくこと」をキーワードに、その場に生まれる《偶然》を即興的に翻訳する言語/非言語の対話をおこないます。
アーティストからのメッセージ
昔ササマさん板坂さんと3人でキクミミ研究会というのをやっていました。はっきりと形になった表現をする前に、お互いの小さな気づきに耳をすまし、言葉にしてみたり実験してみたりする集まりでした。そんなことを、夏至の午後に美術館に来てくださった皆さんとまたやってみたいと思います。参加してみたい人、見学してみたい人は気軽に立ち寄ってください。──新井英夫
コロナ禍で会えなくなった仲間たちと「夏至の空」を1分間「きく」実験をしていました。その時のタイトル「生きているか?」の意味を、新井さんがALS患者となった今よく考えます。「サウンドスケープ」という考え方を提唱したカナダの作曲家R.M.シェーファーは、重い視覚障害を含む自らの知覚で世界を「Sonic Universe!鳴り響く森羅万象」と捉えました。それは新井さんの根幹にある野口体操の「きく」哲学とも響鳴します。場の関係性を「きくこと」は、よく生きることだから。──ササマユウコ
例えば、布が袋になるとか、形にするには工程が必要だけど、形になる前の「モノにきく」時間が好きだ。まるで本のページを捲るようにモノに触れていると、言葉にならない言葉で話しかけてくるようだ。その対話にずっと浸っていたい。いつまでも始まらずいつまでも終わらない、そんな時間に。──板坂記代子
出演アーティストプロフィール
新井英夫(あらいひでお)
体奏家、ダンスアーティスト/埼玉県生まれ。野外劇や大道芸ダンス公演などを行う身体表現グループ「電気曲馬団」を主宰し活動する傍ら、自然に沿い力を抜く身体メソッド「野口体操」に出会い、野口三千三氏から学ぶ。その後ソロ活動に転じ国内外でダンスパフォーマンスをしながら、日本各地の小中学校・公共ホール・福祉施設等でワークショップを展開。2022年夏にALS(筋萎縮性側索硬化症)の確定診断を受けた後も、ケアする/される関係を超越した活動を精力的に継続している。
ササマユウコ
音楽家。1964年東京生れ。芸術教育デザイン室CONNECT代表。2011年東日本大震災を機に『音楽、サウンドスケープ、社会福祉』をテーマに自分の語り直し、世界との関わり直しを実践研究。2014年以降、即興カフェ、カプカプ新井一座、ろう者のオンガク対話など。コロナ禍の映像作品に2021年空耳図書館のはるやすみ『春と修羅 序〜わたくしといふ現象は』(出演・新井英夫)助成:文化庁、2020『空耳散歩 LISTEN/THINK/IMAGINE』(東京アートにエールを!出品)、東京芸術劇場社会共生セミナー講師、ろう者のオンガク映画『LISTENリッスン』監督対談など。アートミーツケア学会理事、《関係性の音楽/リレーショナル・ミュージック》の提唱で2023年度日本音楽即興学会奨励賞 https://yukosasama-web.jimdosite.com
板坂記代子(いたさか きよこ)
山形生まれ、東京在住。大学で銅版画制作を行ったのち、2006年新井英夫の野口体操と体奏に出会い、即興をベースにした身体表現を学ぶ。身体と造形のワークショップ活動とともに「てきとう手しごと工房」と称して、かつての暮らしにあった手仕事の“成り立ち”に着目し「人の手の営み」を幅広く探求中。「手仕事×感覚遊び×カラダ×即興」がテーマ。新井英夫のパートナーであり「ケアする人」として、2023年度より文化庁プロジェクト「表現とケアとテクノロジーのこれから」(メンバー:新井英夫×佐久間新×筧康明 主催:たんぽぽの家)に参加。
基本情報
- 日時
2024年6月21日(金)15:00~16:30
- 会場
東京都現代美術館 企画展示室1F「翻訳できない わたしの言葉」展示室内ラウンジ
- 参加費
無料 ※ただし、当日有効の本展チケットまたはMOTパスポート、身体障害者手帳等のご提示が必要です。
- 参加方法
申込は必要ありません。会場に直接お集まりください。
※車椅子・ベビーカーのままでも参加できます。
※開催内容は、都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。