• 教育普及「普及プログラム:MOT美術館講座」

第62回MOT美術館講座

百瀬文 上映+トーク「矛盾を描く作法」

登壇:百瀬文(コレクション展出品作家)

62回となるMOT美術館講座は、コレクション展「MOTコレクション 被膜虚実/特集展示 横尾忠則―水のように/生誕100年 サム・フランシス」に関連したプログラムとして、今期出品作家であり、また当館の新規収蔵作家でもある百瀬文氏をお招きして、収蔵作品をめぐるアーティスト・トークを行います。
展示中の《山羊を抱く/貧しき文法》(2016)、《I.C.A.N.S.E.E.Y.O.U.》(2019)という2点の映像作品に加え、同じく新規収蔵作品ながら、今回の展示には含まれなかった映像作品2作品をスクリーン上映し、それぞれの作品の制作経緯や自身の活動歴における位置づけなどを詳しく伺います。

※手話通訳付き

手話マーク(全日本ろうあ連盟)CMYK-A2.jpg


【上映作品】 ※いずれも日本語字幕付き

《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》2013年
《Flos Pavonis》2021年

  • 《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》2013年、シングルチャンネル・ビデオ、25分30秒

  • 百瀬が大学院の修了制作として発表した作品。木下知威氏(歴史学者)と百瀬との対話が映し出される。耳が聞こえない木下は、百瀬の口唇の動きを読み、百瀬は、木下の発する声(木下自身には聞こえない)を聴く。鑑賞者は字幕を助けにその内容をたどるのだが、徐々にその会話にはズレが生じ始める…。百瀬は、映像と音声、文字情報(字幕)という映像メディアの構成要素を巧みに操作することで登場人物間の力関係の変調を描き出し、さらに鑑賞者をもその関係性のなかに組み込んでいる。

※作家の意向により、この作品の上映中は、途中入退場をご遠慮いただきます。

  • 《Flos Pavonis》2021年、シングル・チャンネル・ビデオ、30分

  • ポーランドで、ほぼすべての人口妊娠中絶を禁止するという法律が成立したと知った百瀬が、そのことへの憤りを出発点に手がけたフィクション作品。日本に住む「アヤ」とポーランドに住む「ナタリア」は、コロナ禍における互いの状況をメールで共有する。その往還を通じて、時にそれぞれの生い立ちや性生活にも触れながら、自分の身体を自身で管理することをめぐる個人間の連帯が希求される。

※この作品には、一部性暴力を想起させる描写が含まれています。

基本情報

日時

2023年826日(土)14:0016:30(開場13:45)
※途中休憩あり

場所

東京都現代美術館 講堂(地下2階)

登壇

百瀬文(コレクション展出品作家)

聞き手

岡村恵子(東京都現代美術館 学芸員)

定員

180名(事前予約不要、当日先着順)

参加費

無料

※本プログラムが変更・中止となった場合は、当館ウェブサイト、X(旧Twitter)でお知らせいたします。

お問合せ

東京都現代美術館
Tel:03-5245-4111(代表)

  • 撮影:金川晋吾

  • 登壇者プロフィール

    百瀬 文(ももせ・あや)

    映像作品やパフォーマンスによる表現を中心に、意欲的な発表活動を続けているアーティスト。1988年東京都生まれ。2013年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。主な個展に「百瀬文 口を寄せる」(十和田市現代美術館、青森、2023年)、「I.C.A.N.S.E.E.Y.O.U」(EFAG East Factory Art Gallery、東京、2020年)、「サンプルボイス」(横浜美術館アートギャラリー1、神奈川、2014年)など。主なグループ展に「国際芸術祭 あいち2022」(愛知芸術文化センター、2022年)、「新・今日の作家展2021 日常の輪郭」(横浜市民ギャラリー、神奈川、2021年)、「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、東京、2016年)、「アーティスト・ファイル2015 隣の部屋――日本と韓国の作家たち」(国立新美術館、東京・韓国国立現代美術館、2015-2016年)など。今年開催された「世界演劇祭2023」(フランクフルト/オッフェンバッハ、2023年)では、映像インスタレーションの他にパフォーマンス作品も行っている。2016年度アジアン・カルチュラル・カウンシルの助成を受けニューヨークに滞在。

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