2015年12月01日(火)

坂本龍一さんから「"TOKYO"」展へメッセージが届きました

坂本龍一さんから、現在開催中の「東京アートミーティングⅥ "TOKYO"-見えない都市を見せる」展によせてメッセージを頂きました。


東京、ロンドン、ニューヨーク、、その昔都市には個性があり、それぞれの都市からはユニークな音楽やファッションやカルチャーが届いたものだ。ぼくたちはそれらを敏感に感知し、まだ行ったことのない都市の喧騒を思い描いていた。
東京には、そこからしか生まれない独自の色や匂い、音の密度や薄さというものがあり、ぼくらはそこに「らしさ」を感じていたし、海外でも敏感なやつはそれに気づいていた。
そして都市の間には一種の感覚のコンペティション が生まれていた。
それがいつしか都市から個性的な音やファッションが届かなくなってきて久しい。私が住むニューヨークもその「らしさ」がなくなってもう長い。ここで生まれ育った最も「らしい」人間が、「ここは面白くなくなった」と言って出ていくやつも多い。逆に旧東ベルリンに懐かしいイーストヴィレッジの匂いを感じたりする。
懐かしい東京「らしさ」はもう永久に戻ってこないのだろうか。そこに新しい匂いを感じることができるのだろうか。


坂本龍一

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イエロー・マジック・オーケストラ  1979年 
© Photo by Masayoshi Sukita




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