「ここはだれの場所?」展紹介 ヨーガン レール
開催中の「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展、今回から参加作家さんとそれぞれの作品紹介をしていきます。
展覧会の冒頭で展示されているのは、ヨーガン レールさんの作品です。
ポーランド生まれのドイツ人であるヨーガンさんはデザイナー。シンプルでナチュラルな素材を使って、身体に馴染むデザインの服、インテリアや雑貨を生み出し、「ヨーガン レール」と「ババグーリ」の二つのブランドを立ち上げました。
また、「ヨーガン レール」は社員食堂ブームの火付け役とも言われています。ヨーガンさんが居を構えていた石垣島で収穫した食材や、契約農家の有機野菜を使った料理が話題となりました。デザイナーとして作り出す商品だけではなく、経営者として商品を扱う社員にも気を配っていたことが伺えます。
残念なことに、ヨーガンさんは去年9月に急逝されましたが、最後の数年間はデザイナーとしての仕事の他に、大量のゴミが流れ着くようになった石垣島の浜辺でそれらを集め、ランプを作り続けていました。今回の展覧会は、彼が亡くなる直前まで手掛けていた遺作を見られる機会となっています。
彼の審美眼に基づいた豊かな色彩感覚によって分類され、再構成されて作られたランプたち。
ここで、一つ一つの作品をじっくり見てみましょう。
よーくみると・・・・
かわいいブラシ!?
宙吊りの人!?
お父さんのサンダル!?
目を凝らしてみると、思いもかけない物たちが作品の一部となっています。
ヨーガンさんは石垣島でできるだけ多くの時間を過ごし、自然の美しさに深く触れていました。自然が美しいものを既に用意しているのだから、飾り物のような不要なものを生み出したくないというのが彼のものづくりの哲学であったと思います。
「手仕事」を大事にしていたことも欠かせません。商品を作るときだけでなく、今回の展示作品にもヨーガンさんの「手仕事」が表れています。
本展覧会では、ヨーガンさんが石垣島の浜辺でプラスティックのゴミを集め、きれいに洗い、形や色で分類していたスタジオの様子を再現しています。
醜いプラスティックを大量に見せただけではその恐ろしさを分かってもらえない。それならばこれらを使って、何か自分が美しいと思うものを作りだす努力をしたい、という言葉をヨーガンさんは残しました。
皆様はこの言葉、そしてこの作品たちをどのように受け止めるでしょうか。
作品の全容は展示会場にて。
会期もあと半月を残すのみとなりましたが、皆様ぜひお越しください!
(「ここはだれの場所?」展 インターン 阿部美里)
「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」
2015年7月18日(土)~10月12日(月・祝)
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