ミッション[宇宙×芸術] 名和晃平さんへのQ&A
ミッション[宇宙×芸術]展で暗い展示室が続く中、まぶしいほど明るいホワイトキューブの空間がありました。名和晃平さんの《Direction》、《Moment》、《Ether》の作品群が展示された空間です。
《Direction》は、キャンパスを傾け、重力に従い流れ落ちる絵の具で描かれた平面作品であり、《Moment》は、「軌跡」「移動」という概 念から展開を見せる、振り子式のドローイングマシンによって描かれた絵画である。彫刻作品《Ether》は粘度の高い液体が床に落ちる際の形状を5段階で3D化し、上下反転させたものを合わせた形状を無限柱のようにランダムに積み重ねたもので無重力をイメージさせる。どの作品からも、人と重力、時間と空間の関係性を思わせる表現の可能性が感じ取れる。※
本展では、地球上の「重力」と名和さんの手によりどのように作品が制作されているのか、その過程を記録した貴重な映像作品《The DIRECTION/Direction_Document Movie/Moment_Document Movie》(The video was made in collaboration with Kenji Aoki and Luigi Honorat)も展示されていました。
※展示キャプションより引用(作家自身による記述)
(奥)《Direction》、(手前)《Ether》Photo : Nobutada OMOTE|SANDWICH
《Moment》Photo : Nobutada OMOTE|SANDWICH
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名和晃平さんに聞く
宇宙と作品に関する「3つの質問」
1.宇宙に興味を持った時期、きっかけは何ですか?
7才くらいの時に小さな天体望遠鏡をもらって、月や土星を観察したのがきっかけだと思います。
10才くらいの頃に天文学研究部を作って、星の観察や撮影、鉱物の収集を行うようになりました。
2.今回展示された作品には特別にインクを調合されたとうかがいました。その完成までにどのくらいの時間がかかりましたか?
インクの調合はこの2年の間に少しずつアップデートを繰り返したと思います。
今までに200枚くらいは描いたでしょうか。
3.次なるミッションは何ですか?(今後の活動展開について)
今度はオイルを垂らす実験をしております。
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名和さん、ありがとうございました。
名和晃平 | Kohei Nawa
1975年大阪生まれ。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期 )課程彫刻専攻修了。2009年京都・ 伏見区に創作のためのプラットフォーム「SANDWICH」を立ち上げる。2011年、東京都現代美術館にて個展「名和晃平―シンセシス」を開催。独自の「PixCell=Pixel(画素)+Cell(細胞・器)」 という概念を機軸に、さまざまな素材とテクノロジーを駆使し彫刻の新たな可能性を拡げている。2013年には韓国のチョナン市に大型彫刻Manifoldを設置。同年「犬島『家プロジェクト』」、「あいちトリエンナーレ2013」に参加。京都を拠点に活動。
(ミッション[宇宙×芸術]展スタッフY)