ミッション[宇宙×芸術] ARTSATプロジェクト 久保田晃弘さんへのQ&A
ミッション[宇宙×芸術]展の終盤のひときわ暗い空間には、世界初の芸術衛星「ARTSAT1: INVADER」や当時開発中だった「ARTSAT2: DESPATCH」が紹介されていました。「ARTSAT1: INVADER」は、2014年2月28日に全球降水観測計画主衛星(GPM主衛星)の相乗り副衛星としてH-IIAロケットとともに打ち上げられ、会期終了直後の2014年9月2日に大気圏に再突入するというロングフライトを成し遂げました。まるで展覧会の終了を見守っていてくれたかのようです。
本展では、宇宙空間を漂うINVADERの残骸、姿勢、温度、位置、音、速さ、テレメトリデータなどが五感で感じ取れるよう再構成されたインスタレーション作品が点在していました。INVADERからのモールス信号と生の「コンニチワ、ウチュウ」という声を聴くことができた来館者の方はいらしたでしょうか。
ARTSAT : On-Orbit|2014年 © artsat.jp 撮影: 古屋 和臣 / 森 勇馬
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ARTSATプロジェクト 久保田晃弘さんに聞く
宇宙と作品に関する「3つの質問」
1.宇宙に興味を持った時期、きっかけは何ですか?
子どものころから天文気象クラブに入って、毎月五島プラネタリウムに行っていたり、アポロの打ち上げや月着陸に興味津々でしたが、本当の意味で宇宙や衛星に取り組み始めたのは、2010年に田中利樹さんに会って、ARTSATプロジェクトを始めてからです。改めて、想像の宇宙と現実の宇宙の違いを深く実感しました。
2.人類初の芸術衛星が打ち上げられ、再び大気圏に突入していった瞬間、どのようなことを思われましたか?
衛星や地上局の設計開発、作品の制作など、ARTSATプロジェクトに力を貸してくれた多くのメンバーのことを思い起しました。フルサクセス+αが達成できたのも、優秀なメンバーたちのおかげです!
3.次なるミッションは何ですか?(今後の活動展開について)
現在、ARTSAT2号機のDESPATCHを開発中です。2014年11月30日に「はやぶさ2」との相乗りで地球脱出軌道に投入される深宇宙彫刻です。衛星から惑星へ。こちらもPMの宇佐美尚人さんを始め、内外の多くのメンバーの尽力で開発が進んでいます。10月末にはJAXAに機体を引き渡す予定です。(注:その後はやぶさ2は11月30日に打上決定)
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久保田さん、ありがとうございました。
久保田晃弘 Akihiro Kubota(多摩美術大学教授)
多摩美術大学×東京大学 ARTSAT:衛星芸術プロジェクト
Tama Art University×The University of Tokyo ARTSAT: Art and Satellite Project http://artsat.jp
「宇宙と地上を結ぶメディア」としての衛星を通じ、インタラクティブな芸術作品を制作展開するプロジェクト。2大学のコラボレーションを軸に、70名超のメンバーで構成される。東京大学チームが衛星の開発主体を、多摩美術大学チームが衛星データを活用した作品制作、地上局の運用やデータ配信を担当。2014 年2月28日(日本時間)、H-IIAロケット相乗小型副衛星として、世界初の芸術衛星「ARTSAT1: INVADER」が打ち上げられ、太陽非同期軌道に投入された。
(ミッション[宇宙×芸術]展スタッフY)