クワクボリョウタさん
「ワンダフル ワールド」展の出品作家、クワクボリョウタさんについてご紹介します。
クワクボさんは、デジタルとアナログ、人間と機械、情報の送り手と受け手など、さまざまな境界線上で生じる事象をクローズアップする作品によって「デバイス・アート」とも呼ばれる独自のスタイルを作り出してきました。
本展ではクワクボさんの2010年発表作 ≪10番目の感傷(点・線・面)≫ と、新作 ≪ハロー・ワールド!≫ を見ることができます。 ≪10番目の感傷(点・線・面)≫ は、鉛筆やスポンジといったありふれた日用品を並べ、それを光の電車で照らすことで、街や自然の風景など思いがけない壮大なイメージを浮かびあがらせます。この作品が映し出す光景は、人間が見ることのできないような低い位置から照らしだされた現実には存在しない光景なのですが、作品を見た人は自らの記憶の中にこの光景を見出して、不思議と懐かしさを覚えます。一方、新作 ≪ハロー・ワールド!≫ は赤ちゃんの視覚発達の心理学的研究を参考にして、クワクボさんが面白いと思う題材を模索し、赤ちゃんの視覚世界を探求した作品です。
撮影:木奥惠三
新作 ≪ハロー・ワールド!≫。 5種類の作品の中で特に赤ちゃんに人気があるのは、ふわふわの羽毛の影と丸いボールの影を映し出す作品のようです。
出展された2作品はともに、クワクボさん自身が何かを表現するために作った作品ではなく、作品を観た人が自らの内面で体験を紡ぎだすよう考えられた作品です。それは見る人が違えば、異なる見方で見られる作品だということを意味しています。だとすれば、暗い展示室の中で同じ作品を一緒に見ているお子さんは、いったい作品に何を見て、どんなことを感じているのでしょうか。ご来場の際は作品を見るお子さまを観察したり、何を見てどう感じたのかを話し合うことで、作品を見ることを体感し、親子であっても互いに異なる視点を見つけ合ってくださいね。
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(「ワンダフル ワールド」展インターン佐下橋)