2014年08月29日(金)
船井美佐さん
「ワンダフル ワールド」展の出品作家、船井美佐さんについてご紹介します。
船井さんは、現実と空想の世界の境界をテーマに絵画空間を制作し、その境界を浮遊する体験そのものを作品とみなします。キャンバスにみたてた展示室を想像の世界を描いた平面で構成し、そこに人々を入り込ませることで、ひとつの絵画作品を完成させるのです。船井さんはしばしば「絵画」を 空想と現実をつなぐ「穴」に例えていますが、以前は壁に直接絵を描くことで現実と絵画の中との境界を曖昧にし、見る人に現実と意識の間をゆらぐような体験をもたらしてきました。そして、本展に向けて新しく制作した ≪楽園/境界≫ においても、絵の中の世界と絵の外の世界、体の内と外、自然と人工、理想と現実、それらが反転してひとつになる絵画空間を生み出しました。
船井さんの展示室 ≪楽園/境界≫ に足を踏み入れると、まず真っ白に輝く幻想的な空間にどっしり構える大きな優しいピンク色の山 ≪MOUNTAIN/MOTOKO≫ が目に入ります。≪MOUNTAIN/MOTOKO≫ は、「山(自然)」と「母体」と「絵画体験」を象徴しています。この作品は、絵の中に入って、すべり台を滑り降りることで、あたかも胎内巡りをするように、自分の内なる自然と向き合い、原始を取り戻して再生するための装置となっています。
船井さんは ≪楽園/境界≫ において、理想と現実がひとつになった希望の景色、空想の楽園空間に見る者を迎え入れることで、失望や不安だらけの現実に生きる私たちに生きる希望を与えようとしています。ご来場の際は、ぜひ船井さんが作品に込めた思いを感じ取ってください。
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(「ワンダフル ワールド」展インターン佐下橋)