2014年07月27日(日)

「ワンダフル ワールド」インターンによる担当学芸員へのインタビュー

インターンの秋山です。
今回は「ワンダフル ワールド」展の内容についてお届けしたいと思います。「ワンダフル ワールド」展を企画した、山本雅美学芸員のインタビューをご覧ください。


秋山「子どもに向けた展覧会を企画しようと思われたきっかけを教えてください。


山本「私はよく子どもたちと一緒に美術館を訪れます。その時、赤ちゃんでも十分にアートを楽しめると気付かされる出来事がありました。1歳に満たない子どもが、私はたいして面白いと思わなかった作品を、リラックスしながらとても楽しそうに観ていました。すでに親とは異なる感覚で楽しんでいたのです。その2年後、初めて子ども向けの展覧会に行きました。そこでは子どもたちが皆楽しそうにしていて、その姿に衝撃を受けました。その一方、赤ちゃんや子どもでもアートを楽しむことができるのなら、もっと良い作品に触れて欲しい!素晴らしい世界に出会い、素晴しい経験をして欲しい!という気持ちが込み上げてきました。」

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秋山「子どもにとって『ワンダフル ワールド』展はどのような展覧会ですか。「ワンダフル ワールド」、「素晴らしい世界」に込めたおもいを教えてください。」

山本「美術館が楽しく素敵な場として、子どもたちの記憶に残るような展覧会になって欲しいと思います。そのためには、作品が子どもたちの身近にあって興味の対象となるものを扱っている必要があります。見て何か分からないと楽しい思い出にはなりづらいですから。本展では、日常をアートに表現として引き上げた作品を選びました。体感型、参加型の作品も多くあります。美しいものを美しい、楽しいことを楽しいと率直に感じて欲しいです。それがアートに触れる第一歩だと思います。そして美術館での思い出が、たとえば家族で訪れた動物園の記憶のような幸せな日常の一場面のように、大人になった時によみがえり、その時また美術館に戻ってきてくれたら嬉しいです。」

秋山「『ワンダフル ワールド』展は、子どもがアートに触れる第一歩として意味のある展覧会であることが分かりました。一方、大人にとっても楽しめる展覧会だということですが、大人の来館者に向けメッセージがありましたら教えてください。」

山本「『ワンダフル ワールド』展は、大人や親にとって、子どもを発見する場でもあります。そのおもいは、サブタイトルで『こどものワクワク、いっしょにたのしもう みる・はなすそして発見!の美術展』に含まれています。大人は、子どもと一緒に作品を観て、語り合うことで、子どもは子どもの感覚で楽しんでいることを発見できます。子どもは自分で何かを発見する力、ひいては、自分で生きる力があるということに気付かされます。私はその気づきによって、子育てが少し楽になりました。大人はぜひ子どもと目と目を合わせ、それぞれ異なる感覚を持っていることを作品を通して感じてください。」

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撮影:木奥惠三


秋山「『ワンダフル ワールド』展は子育てする方々にとって、とても心強い展覧会になっていて、親子で来館することの大切さを深く感じます。このブログを最後まで読んで頂いた皆様に一言メッセージをお願いします。」

山本「展示室では気兼ねなく、おしゃべりして、にぎやかに楽しんでください。静かにしないといけないことはありません。そして展示されている作品は世界にひとつだけの大切なものです。触れて良い作品、触れてはいけない作品があるので、それだけは気を付けてくださいね。」

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