2014年04月19日(土)

MOTアニュアル2014ブログ No.19 インタビュー「髙田安規子・政子」

こんにちは。学芸員の森です。
今日の福田尚代さん、宮永亮さんのアーティスト・トーク。
予想以上に多くの方々にご参加いただき、ありがとうございました。

福田さんの内面から紡ぎ出されるような珠玉の一言、そして宮永さんの熟考を経て抽出されていく言葉.....。
お二人の制作への姿勢がストレートに伝わったのではないかと思います。

さて今日、ご紹介するのは髙田安規子・政子さんです。
お二人は一卵性双生児の姉妹で、2004年頃よりユニットとしての活動をスタートさせました。

今回の展覧会場で、皆様に最初に紹介しているのが、彼女たちの作品です。

どれも小さな作品ではあるのですが、そこに封じ込められた壮大な世界観は、見る者に少なからぬ驚きをもたらします。

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≪カットグラス≫2014年(撮影:後藤武浩)

では出品作家のインタビュー・シリーズの6人目、'髙田安規子・政子さん'の回をお届けします!
インタビュアーは今回も、"インターン" のカノさんです。
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作家の髙田安規子・政子さんは、一卵性双生児のユニットです。

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左が政子さん、右が安規子さん(撮影:後藤武浩)

小さなトランプに刺繍をして、大きな絨毯に見立てるなど、本来のスケールを全く変えることで作品を作ってきました。
今回はお二人に、作品の"大きさ"について聞いてみました。

カノ「スケール、日本語で言う"ものの大きさ" に興味を持ったきっかけはありますか?」

安規子「イギリスに留学してから、作品を二人で制作し始めたのですが、イギリスの生活の中では、椅子や机の高さが違ったり、ものの大きさが日本とは違いました。そういうちょっとしたズレがあることに驚きを感じ、"スケール" というテーマに興味を持ちました。
彫刻におけるスケールの問題は、私たちが勉強したイギリスでは、それひとつで長いディスカッションができるような、重要な課題でもありました。」

政子「スケールを、彫刻の問題として、きちんと伝えられるような作品を作っていきたいと思っています。」

カノ「二人で制作していて良かったこと、難しかったことを教えてください。」

政子「二人で制作していると、双子であってもいろいろな意見の違いや、物事に対する認識の違いが出てきます。アイディアを出したときに、相手が納得するところまで持っていかなくてはいけないところが難しいです。今までの作品とのつながりを汲み取ってもらえない時に、もう一度アイディアを考え直して、相手を説得します。」

安規子「相手に対するプレゼンには苦労しますね。自分がその作品をすごく作りたい、という情熱を相手に伝えないと、作品制作まで至らなかったりします。
以前は、アイディアのうち実際に作品になるのは3、4割でした。
最近になって、お互いの反応が分かるようになってきて、今は5、6割。
トランプを絨毯に見立てた作品は、アイディアを出してから5年越しで作品になりました。

切り札.jpg
≪切り札≫2011年(撮影:伊奈英次)

相手を説得しないと作品にならないことが、二人で作っている難しさでもあり、楽しさでもあります。
そういう経験が出来ることが良かったことかな、と思います。

今回の展覧会では、私たちのスケール感が揺さぶられる作品が数々展示されています。
大きいはずのものが小さい。小さいはずのものが大きい。
スケールが変わると自分の身体感覚も変わります。
ぜひそれは展覧会場で。」
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こっそりお知らせ!
その1)
二人のワークショップがゴールデンウィーク中の5月3日(土)に開催されます。こちらは4/18に募集を締め切りましたが、当日、彼女たちにミニトークをしていただけるようリクエスト中です。
詳細が決まりましたらブログやホームページでお知らせします!

その2)
二人が会期中に密かに手掛けた≪修復≫シリーズ。
美術館の屋外に、まるで小人がコツコツ修理したかのような、痕跡が・・・・。4月初旬より公開されています。
これも見逃さずにどうぞ!(探せない人も続出しているようです・・・)。
詳細は「MOTアニュアル2014ブログ No.16」をご覧ください。

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展示中の髙田安規子さん(右)・政子さん(左)(撮影:後藤武浩)

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