MOTアニュアル2014ブログ No.15 インタビュー「福田尚代」
こんにちは。
学芸員の森です。
先日は「学芸員によるギャラリー・ツアー」に多くの皆様にご参加いただきありがとうございました。
予想外の反応をいただき、新たな発見もあり、刺激的なひと時でした。
さて、今日は、
出品作家のインタビュー・シリーズの4人目、'福田尚代さん'の回をお届けします!
消しゴム、鉛筆の芯、栞の紐、原稿用紙・・・等を文具を用いた繊細な作品は、一度見たら忘れられない深い印象を残します。
では今回も展覧会インターンのカノさんによるインタビューで、お届けします。
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作家の福田尚代さんは、文字や言葉、本にまつわる作品を制作する傍ら、回文(上から読んでも下から読んでも同じ音の文章)を数多く作ってきました。今回は福田さんに、まずは本の作品について聞いてみました。
≪翼あるもの 『バートルビーと仲間たち』≫2013 撮影:伊奈英次
カノ「例えば、本の頁を折り込んで、一行だけを見せる作品があります。
本の頁を折る、という行為は、とても強い行為だと感じました。
福田さんは、どのような思いで身近なものに手を加えているのでしょうか?」
福田「本に危害を加えている、と思われるかもしれません。
特に、本が好きな方は、本そのものを大切にする心を持っていらっしゃいます。
でも、私は本を傷つけたいのではなくて、
動機は愛にあると思っています。
愛にはいろいろな種類があるのではないでしょうか。
本と私との間に起きた、私的な事件は、他の人には知りようもないことですが、
私にとってその本と自分との関係は、人との関係くらい強いものです。
本の頁を折るだけでなく、文字の上に刺繍をしたり、
本の頁に針で無数の穴を開けていったりもします。
そういった行為によって、本と私が一体化していくように感じます。
本の中に入っていきます。」
カノ「福田さんの作品は、本だけでなく、けしごむやしおり等、
身近なものを素材にしているので、感情移入しやすいと思います。
作品を見た人の反応を見て、いかがでしたか。」
福田「作品を見るとき、人は自分が見たいものを見るって言ったらおかしいのかな、
自分自身をそこに発見している、と感じることが多くて。
私はそれを面白いことだな、と思います。
そういう、誰でも映せるような、鏡のような作品ってすごくいいな、と思うんです。
懐が深い、余地のある作品に憧れる気持ちがあります。」
今回の展覧会では、本だけでなく、様々な素材を使った作品を展示しています。
展示室で、一つ一つの作品との対話をお楽しみください。
本展覧会にて展示をする福田尚代さん 撮影:後藤武浩
(《ランボーの手紙》を1枚1枚丁寧に並べています。)
福田尚代さんのアーティストトークは4月19日(土)15:00~です。
ご参加お待ちしております。
(学芸担当 森)