出会いを楽しむ
2024年12月から2025年2月にかけて、江東区立元加賀小学校のみなさんが今年も団体鑑賞をしに、来館してくださいました。
グループに分かれ、美術館スタッフと一緒に、コレクション展と企画展「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」展を鑑賞しました。毎年、当館に鑑賞しに来てくださる元加賀小学校のみなさんですが、今年度はどのような作品との出会いがあったでしょうか。
コレクション展ではスタッフとトークをしながら鑑賞しました。
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こちらはコレクション展1階で、福島秀子さんの作品を鑑賞しているグループの様子です。顔のようなものが描かれた作品や、丸い形がたくさん使われている作品をじっくりと鑑賞しています。
みなさんの鑑賞が落ち着いてきた頃に「福島さんの作品の中から、友達にプレゼントしたい作品を1つ選ぶ」というお題を出してみました。
突然出されたお題に少し驚きつつも、楽しそうに友達と作品を選ぶ様子や、一人で真剣に作品と向き合うこどもたちの姿が見られました。
しばらくして、選んだ作品を尋ねると「描かれている模様が線香花火のように見えてきれいだと感じた作品」「封筒やハンコを縁取ったような模様が気になった作品」「目の形に見えて面白かった作品」など、選んだ作品と、その作品のお気に入りのポイントを全体に共有してくれました。
展示室をさらに進んでいくと、とても大きなドレスの作品が展示室中心にそびえ立っていました。作品の迫力にこどもたちの口からは思わず「うわあ!」と驚きの声が!
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色鮮やかなドレスの上にはラメや鏡がきらめき、ドレスからは長いロープが床まで這うように伸びています。この作品は前本彰子さんの《深海のアネモネ(Sea anemone)ーEat Up the Heaven!》という作品です。足元のロープに注意しながら、まずは各々じっくり鑑賞しました。
注意深く作品を鑑賞すると「鏡がたくさん使われている」「中に人が隠れていそう」「垂れ下がったロープがあみだくじに見えてきた」などの発見がありました。中には「鏡に反射した光が、壁に届いてキラキラしている」と作品だけでなく、展示空間に目を向けた子もいました。
個人で鑑賞を楽しんだ後、グループ全員で鑑賞しました。鑑賞している中で、一体どのような人がこんなに大きなドレスを着るのだろうという話題になり「巨人が着る」「竹馬に乗った人が着る」「劇をするときに着る」「とても大きくて動きにくそうだから、一度着たらもう動けないと思う」など考えたことをたくさん教えてくれました。
つづいて、こちらは企画展「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」展の様子です。
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様々な表現の作品が展示されていて、展示室を移動するごとに、こどもたちから「なにこれ!」「すごい!」といった声が聞こえてきました。
2つの展覧会を鑑賞したあとに、最後にもう1つ作品を鑑賞しました。スタッフから「これから鑑賞する作品は、今しか見ることのできない作品だよ」と声がかかると、こどもたちは嬉しそうな表情に。どのような作品に出会えるのかワクワクしながら屋外の美術館広場へと向かいます。
美術館広場にたどり着くとシューという何かが噴き出すような音が、地下にあるサンクンガーデンから聞こえてきました。音のする方を覗き込むと、そこにはもくもくと白いモヤのようなものが漂っていました。
これは現在開催中の企画展「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」展で展示されている《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662という作品で、白いモヤは人工的に作られた霧です。霧の動きをカメラが捉えて、瞬時に音に変換しているので、人や空気の流れによって形が絶えず変化する霧を「音」として感じることができます。
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霧は風に吹かれながら、美術館広場へと上ってきました。それに触れようと手を上に伸ばしたり、風に流れる霧の後を友達と追いかけたりするこどもたちの姿が印象に残っています。
1時間程のプログラムではありましたが、いろいろな作品との出会いを楽しみ、友達やスタッフと共に鑑賞を深めていくこどもたちの様子を伺うことができました。
鑑賞後に「楽しかった!」「まだ美術館に残って、他の展覧会もみたい」「中学生になっても現代美術館に来たい!」と伝えてくれた子も多く、元加賀小学校のみなさんにとって東京都現代美術館が居心地の良い場となっていることを実感しました。
作品に出会いに来たり、散歩中に休憩しに来たり、ちょっとした気分転換など、自分なりの美術館の楽しみ方を見つけに、気軽に東京都現代美術館に遊びに来てくださいね。(R.T)