アーティストの1日学校訪問(片岡純也さん&岩竹理恵さん)レポート2
【3校目】2024年1月15日(月) あきる野市立一の谷小学校 小学6年生 31人
訪問3校目は、自然豊かな場所にある小学校です。事前に先生から、美術館に行く機会が少ないこどもたちに卒業前にアートに触れる機会を作ってあげたいという思いを伺っていました。
鑑賞の時間では、作品を間近にさまざまな反応がこどもたちから返ってきます。
続いて、《やじろぐ枝》の制作に入ります。材料には太い枝、細い枝、大きく広がった枝など、さまざまな種類の枝があります。事前にこどもたち自身で校庭や駐車場などで拾ってきたそうです。他にも先生が、ポプラの枝、鹿の角、ニワトリの羽、松ぼっくりなど、自然の中にある材料をたくさん用意してくれました。
こどもたちは使う材料を吟味し、のびのびと制作に取り組んでいます。自分のイメージに合わせて大きな枝を剪定する子、太くてごつごつした枝を土台にする子、1m以上ある長い枝にグルーガンでどんどん材料をつけ足していく子もいます。
完成した《やじろぐ枝》をいくつかご紹介します。
完成した作品は、色の組み合わせがよく考えられているもの、枝の形を上手に活用したもの、材料でバランスを工夫したものなど、それぞれのこだわりがよく伝わってきました。
最後に、先生が伝えたのは「授業を通して、片岡さん、岩竹さんが新しい視点に気づかせてくれたこと」でした。今回の授業は、卒業を控えたこどもたちにとって思い出に残る体験になったのではと思います。さらに授業後には、「美術館へ行ってみたい」「将来作家の仕事がしたい」という声を聞くことができました。
【4校目】2024年1月31日(水) 東京都立大江戸高等学校 2~4年次 9人
訪問4校目は、3部制の単位制総合学科のチャレンジスクールです。
当日を迎えるにあたって、学校では事前に「動く作品」についての調べ学習を行ってくれました。
授業前には、生徒たちが調べてきたレポートを片岡さん、岩竹さんが熱心に目を通していました。
作品鑑賞では、生徒たちはそれぞれ真剣なまなざしで作品に見入っています。
バネを取り入れた作品《P波またはS波の繰り返し運動》は、天秤の皿に載せたバネが皿ととともに上下交互に動きます。片岡さんがおもちゃのバネを両掌に乗せて上下交互に動かして見せ、岩竹さんがバネの動きと天秤の仕組みを組み合わせたことを伝えます。
この学校では《やじろぐ枝》の材料として、美術室前の屋上庭園にある枯れ木の枝を自由に切って使うことができました。
片岡さん、岩竹さんは生徒たちに寄り添いながら、作業のアドバイスをしています。自然と会話が生まれ、生徒たちが徐々に打ち解けていく様子が伝わってきます。
完成後は生徒たちが自分のこだわったところを一人ずつ皆の前で話しました。ストローを関節のように表現したもの、黄色の材料だけを組み合わせたもの、銀紙に枝が映り込み奥行きを感じられるもの、釣られる魚と釣り竿を表現したものなど、生徒たちの意図がしっかり伝わってきました。作品の意図や見せ方からは高校生ならではの感覚の鋭さが見えてきました。
先生からは現在活躍中の作家から教えてもらう体験ができ、一人ではできないとても贅沢な時間だったという感想をいただきました。
また、片岡さん、岩竹さんからの話にあったとおり、生徒たちの作品にそれぞれの個性が出ており、選んだ枝にも一人ひとりの好みが出ていました。枝がそれぞれの作り手をとおして、さまざまな形やバランスに変わっていくさまが大変興味深かったです。(S.O)
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