いろいろな人と見る、ガイドスタッフによるショートツアー
「MOTコレクション 被膜虚実/Breathing めぐる呼吸」展を会場に、ボランティアのガイドスタッフによる40分間のショートツアーを開催しました。コロナ禍に始まった本ツアーは、無線ガイドシステムを介することで、参加者同士がソーシャルディスタンスを保つことができるというもの。今期は、全36回、合計301人にご参加いただきました。
今回のショートツアーでは、手話を主要なコミュニケーション手段とする方にも参加いただけるよう、手話通訳を介する実施回を設けました。(実施日:6月10日(土)、6月14日(水) 14時~/15時~)
手話通訳を介した実施の様子をお伝えします。
ツアー実施日は、早めに集合し、手話通訳士さんたちと当日トークを担当するガイドスタッフで、トーク予定作品や立ち位置を確認。「手話と作品の両方が見やすいのはここかな」、「もう一歩ずれた方が、照明の光で手話や表情が良く見える」など、丁寧に確認していきます。
トークスタート! 一般参加のお客様も多く参加されたショートツアーは、いずれの回も満員御礼!
手製の資料を使って説明をするガイドスタッフも。重要なキーワードは、文字にして伝える工夫をしていました。
金氏徹平《White Discharge(建物のようにつみあげたもの)#4》では、薄暗い空間だったので、手話が良く見えるように、手話通訳士さんの手元にLEDライトをあてています。
ツアーに参加していた小学生の男の子が、「マリオがいる。これは土管に見えてきた」と作品から発見・想像したことを話してくれ、和やかにツアーが進みます。
1Fから3Fへの移動途中にあるオノ・ヨーコ《インストラクション・ペインティング》でも足を止めてトーク。オノ・ヨーコとジョン・レノンのエピソードを交えながら作品を紹介します。
モンティエン・ブンマー《呼吸の家》では、作品の中に入り、香りを体感していただくひと時も。
無線ガイドシステムを活用したショートツアーは、イヤホンからガイドスタッフの声を聞く方式で実施しているため、普段ならば移動しながらトークすることができますが、手話通訳を介する場合は、作品を見る時間と説明する時間=手話を見る時間とを分けて進めていきます。
今回のツアーでは、手話通訳を必要とする方のご参加は、各回1名程で、参加者のいない回もありました。参加者から寄せられた実施後の感想では、「いろんな人がいる環境の中で参加できて良かった」「ガイドスタッフのトークを聞いたことで、作品の印象が変わった」といったコメントがありました。
トークを担当したガイドスタッフからは、作品を良く見ていただくこと/話す速度について気を付けること/作品と自分の位置関係を意識すること/トークを通じて何を伝えるか考え、情報を整理することなどを改めて意識したとの声がありました。
これらは、特別なことではなく、どんな人に対しても重要なポイント。今回のトークを通じて、改めて自身のトークと向き合う機会にもなったようです。
ガイドスタッフのギャラリートークは、担当するスタッフによってトークの個性が異なります。今後もコレクション展でのギャラリートークを行っていきますので、ぜひいろいろなガイドスタッフのトークに参加してみてください。
皆さまのご参加をお待ちしております!(A.T)