アーティストの1日学校訪問(風間サチコさん)レポート2
【3校目】2021年12月7日(火) 筑波大学附属高等学校 高校2年生 美術選択41人
筑波大学附属高等学校では、美術を選択している高校2年生を対象に実施しました。
最初に行った風間さんの作品紹介では、大きなサイズの木版画作品を作るようになったきっかけについてもお話がありました。
小さなスクリーンに投影された画像からはサイズ感を想像することは難しいですが、大きな作品を作るための下絵も持参してくださいました。作品が完成するまでの過程を垣間見ることができます。
「正直マスク」の制作手順の説明では、タブレット端末を介して風間さんが実演する手元を大きく映し出しながらポイントを説明していきます。
「長らくマスク生活が続き、自分の口を人に見せる機会がなくなっている。自分の口を見せる気恥ずかしさを持つ人もいるが、マスクに自分の口の版を押すことで、マスクの下にある口の存在を想像してほしい。そして、見た人に興味をもってもうらために、誘い文句としてのコメントを書く。そのコメントに対して質問してほしい。今回の授業では、一つのコミュニケーションツールとしてのマスクを使います」と風間さん。
制作が始まると、事前に自分の口元を写した写真を見ながら制作を進めていきます。
口を閉じた様子もあれば、歯を見せている口、笑っているかのような口なども。それぞれに自分なりの口の様子を表現していきます。「デフォルメしても良いので、自分らしい口を描いてください!」と風間さん。消しゴム版に下絵を写したら、カッターを使って切り出していきます。
好きな色のスタンプを選んだら、紙に試し押しをして仕上がり具合を確認。微調整をしつつ、本番用のマスクに押してみます。スタンプの色を組み合わせてトリコロールにしたり、くちびるのアウトライン部分だけ黒いインクをつけたりと、スタンプを押す方法についても工夫している生徒もいました。
そして、最後には完成したマスクを着用して全員でお互いのマスクを見合いました。友達の意外な一面と出会うことができた鑑賞の時間は大いに盛り上がりました。「実は、ジェットコースター苦手」「一日みかん10こ」「1年の最初はちこく0回」「太った動物ってかわいいよね」などそれぞれ普段はあまり言わない本音がマスクに表現されました。
【4校目】2021年12月13日(月) 玉川学園小学部 5年生 65人
4校目となる玉川学園小学部では、クラス別で午前午後の2回にわたって実施しました。
風間さんの作品紹介では、木版画作品を手掛けるにあたって”人間の影を写し出すため”にあえて黒いインクで表現していること、版木を彫って刷るところまで全部一人でやっていることなどを分かりやすくお話してくださいました。
制作方法については、学校にある書画カメラを介して、モニター越しに確認していきます。
制作が始まると、こどもたちは事前に撮影した自分の口の写真を参考にしながら彫り進めていきます。「彫刻刀で彫るの楽しい!一日中やっていられる!」と楽し気に作業を進めていく子も。
風間さんからアドバイスを受けながら作り進めていきます。
試し押しの瞬間。どんな姿が現れるかドキドキ。
制作が早めに終わった児童の中には、余った消しゴムハンコの素材を再利用して新たな作品を作り出す子も!
ミニチュアサイズのハンコを作ってみたり、ミニ消しゴムを作ってみたり。
友だちの知られざる一面を知る本音もあれば、みんなが共感するような本音も。最後のまとめのお話では、「アートはちょっとしたアイデアで日々の生活が楽しくなる手段にもなる。大人になってちょっと辛いことがあっても楽しむことを忘れないで」といったメッセージが風間さんから送られました。
最後に即席サイン会も!風間さんが今回の学校訪問授業のために選んだゾンビのトップスも大注目でした。
(A.T)
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