手作り鑑賞カードで自由にめぐる!
12月に入り団体鑑賞で来館する学校が徐々に増えてきました。この日(2021年12月16日)来館したのは、江東区立東川小学校の6年生です。コロナ禍のため現在も展示室内での会話を交えた活動を控えながら団体鑑賞の受け入れを実施しています。
そのため、今回は来館前の事前授業で、コレクション展のチラシを活用したオリジナルの鑑賞カードを制作して持参してもらい、当日一人でも鑑賞活動に取り組めるよう工夫をしました。
事前授業として教育普及担当の学芸員が、学校に出張し美術館やコレクション作品の概要をレクチャーした後、チラシを用いたオリジナル鑑賞カードの作り方を指導しました。チラシに使用されている作品画像などを切り抜いて、6ページ程のカード状のメモ帳を作ります。はじめは作り方にとまどっていたこどもたちも最後はメモしやすいように罫線を書き込んだり、チラシの文字の部分を切りぬいてコラージュしたりとマイ鑑賞カードへと変貌させていました。
来館当日、あらためて美術館でのお約束を確認し鑑賞がスタート。みな鑑賞カードを首から下げて展示室内へと散らばっていきます。
カードに貼ってある作品を見つけるとじっくりと観察したり、その他の作品でも気になったことや感じた事などをメモしていきます。どの子も真剣に作品と向き合って黙々とカードに書き込んでいる姿が印象的でした。時折、クラスの仲間と意見を交わしたり、展示室内を巡回している教育普及担当の学芸員に質問をしてきたりと主体的に鑑賞していました。
今回は、オリジナルの鑑賞カードを用いての完全自由鑑賞。学校に戻ってからこどもたちが鑑賞カードを基にまとめた鑑賞後の感想をいくつかご紹介します。
・一つ一つの作品に心が惹かれた。
・本物の迫力やすごい細かいところまで見ることができて面白かった。
・綺麗な作品、不思議な作品などたくさんの作品があり、見れば見るほど興味を持ってしまい、時間が早く感じた。
・美術館は絵を鑑賞するところだと思っていたが、立体的な作品や写真もあって美術館のイメージが変わった。
・大岩オスカールさんのコロナ禍に制作された作品を見て、コロナ禍の時の生活について思い出し、こうして美術館見学ができることのありがたさを改めて感じた。
・現代美術は未来の自分に問いかけているような作品が多かったように感じた。
・予想もしなかった作品があって面白かった。
また、図工担当教員からは、「事前学習で興味関心の高まったこどもたちは、美術館に到着して開館を待つ間も美術館の外にある作品を探したり、楽しみながら鑑賞する気持ちを高められたようです。当日展示室ではとても静かで反応がわかりませんでしたが、感想を読んでみると、一人ひとりが考え、感じたりしながら楽しく鑑賞できたことが感じられました」とメッセージをいただきました。
自由鑑賞でも一人ひとりがしっかりと作品と対峙し、小学校の学習指導要領にも掲げられている「主体的・対話的で深い学び」が起きていたことが伺えます。
コロナ禍でなかなか従来通りの活動はできませんが、こうした工夫を通じてこどもたちに鑑賞する楽しさを実感してもらえればと思います。(G)