セルフクルーズ―作ってみよう「〇〇の塔」
体験的な作品鑑賞の場を創出するギャラリークルーズの一環として、前回実施したクロスワード・パズルに続き、コロナ禍において参加者個人で体験を深めていただくセルフクルーズを実施しました。(実施日時:2020年12月20日(日)13:00~17:00)
今回、クルーズのテーマに取り上げたのは、当館パークサイドエントランスにそびえたつアンソニー・カロの《発見の塔》。様々な形の鋼の板で作られた《発見の塔》をよく観察した後、本作から着想を得た23種類の紙パーツを組み合わせてオリジナルの塔づくりを行うという内容です。
実施場所は《発見の塔》が良く見える当館エントランス。コレクション展示室前に、参加者ごとのパーソナルスペースを確保した作業机を用意し、当日自由に参加できるオープンワークショップ形式で実施しました。
クルーズは、《発見の塔》を良く観察することから始まります。
スタッフの案内のもと、特別に《発見の塔》に登ったりしながら、塔のイメージを広げてもらいました。
作品を良く観察したら、いよいよ制作開始。
一人分ずつ使用するパーツやパーツ同士を貼り合わせるシール、ハサミ、鉛筆などをご用意。
塔を作るためのベースを一つ選んだら、パーツを貼り合わせて形作っていきます。
23種類のパーツは全部使っても、使わなくてもOK。
カロの作品を目の前にしながら、オリジナルの塔を作っていきます。
一人でじっくり制作を進める方もいれば、親子で会話をしながら制作する方も。皆さん集中して作り進めていきます。
完成したら、どんなことを想像して作った塔かタイトルを付けて、記録撮影。
こちらは《やまの塔》と名付けられた作品。
《発見の塔》が山に見えたそうです。カロの作品に登ってみたときにたくさんパーツがあったので、どんどん積んで山のようなかたちに。
《発見の塔》に登った時に、ちょうど鳥が止まっていたそうです。その様子を見て、鳥が休憩できるような塔を作ったという《止まり木の塔》。
こちらは《ランチのこうえんの塔》。
100万人が過ごせる公園で、コロナがない世界なので、みんなマスクなしでランチができるそうです。パーツ同士をつなぎ合わせるための「のりしろシール」を人に見立てて賑やかな様子を表現してくれました。
その他にもたくさんの独創的な作品の数々が完成。同じパーツを使いながらも、組み合わせ次第でまったく個性の異なる作品が出来上がりました。
ソーシャルディスタンスに配慮して作業机を配置したため、机の空きがでるまでしばらくお待ちいただくこともありましたが、今回のクルーズには計30人(14組)の方にご参加いただきました。
参加者の方からは、「実際に作品を見てから制作できてよかった」「親子で楽しむことができた」「よく観察することの大切さを実感した」などといった感想がありました。
コロナ禍において、オンライン上でのプログラム実施を模索していくと同時に、不特定多数の人との接触を避け、密にならないような工夫を行いつつ、美術館や作品に親しんでいただける機会をつくっていければと思います。
(A.T)