児童たちの声に耳を澄ます
今年度のミュージアム・スクール(学校団体鑑賞)は、感染拡大防止対策を講じながら実施しています。通常行っている展示室内での対面によるギャラリートークは中止し、講堂で一斉レクチャーをした後、展示室を自由に見て回る形式をとっています。今回鑑賞に来てくれた江東区立亀高小学校の様子をご紹介します。
2020年12月11日、24日の2日間で6年生4クラス合計60人が来館してくれました。各日3グループに分かれて、コレクション展、企画展「MOTアニュアル2020 透明な力たち」、そして、野外彫刻作品アンソニー・カロの《発見の塔》を入れ替りながら鑑賞しました。
所々で聞こえてくる児童の声に耳を澄ますと、コレクション展では、無機質な箱を壁面に均等に配置した作品、ドナルド・ジャッドの《無題》を見た児童から「ビルにみえる」「引出しにみえる」というつぶやきが聞こえてきました。一方、講堂での事前レクチャーでジュリアン・シュナーベルの《森の王》について作品の表面に多数のお皿がはり付けられていることを伝えていたので、実際に作品を児童は、作品に近づいたら「皿がいっぱいある」、作品から離れてみると「あ!王様発見した」といろいろ気が付いたようでした。また、宮島達男のたくさんの数字がいろいろなスピードで変化する作品を鑑賞した時に、数字を見続けていたある児童は「目がこわれそう」とぽつり。(下図)
一方、企画展「MOTアニュアル2020 透明な力たち」の展示室では、動いている作品にひかれ、「なに、これ!」とじっくり作品の動きを観察していました。中島佑太の作品《あっちがわとこっちがわをつくる》で、紙に好きなルールを書き、その紙で折った飛行機を新聞紙でできた壁の向こう側に飛ばすという体験もしました。
下の写真は、紙にルールを書いている様子です。例えば「毎日20回こんにちはと言ってください」など。
最後、屋外にあるアンソニー・カロ《発見の塔》の鑑賞では、児童たちは順次作品に上り、作品の窓から顔を出して「こんにちは」をしていました。(下図)
コロナ禍で感染症対策をしっかりと行いながら作品鑑賞ができた児童たちの声に耳を澄ますと、新たな美術館体験ができたのではないかと思います。(インターン・S)