2020年03月24日(火)

からだを使ってみると

ミュージアム・スクール

今回は、休館前にも毎年、団体鑑賞に来てくれていた江東区立元加賀小学校の様子を紹介します。
2020年1月28日、2月4、5日にかけて5年生4クラスがクラス毎に来館してくれました。
こども達に今まで現代美術館に来たことがありますかと質問してみると、
ほとんどの子が手をあげてくれました。美術館近くにある学校のため、なかには10回以上来たことがあるという子も。

鑑賞した作品の1つは、鶴岡政男の《重い手》(写真上)。
この作品は、以前に何度か当館で展示されているので、こども達から「これ見たことある」という発言がさっそく聞こえてきました。
その後も「手が3つ、または4つある」「足の指がくっついている、もう片方は開いている」
「膨らんでいる足は傷があって怪我していると思う」という発言が続きました。
さらに「絵が暗い感じがする」「窓がないから刑務所みたい」という子も。

複数のこども達の視点で作品をみて気づいたことを共有することは、一人ではみつけることができなかった作品の様々なことを発見することができ、一緒にみているこちらも学ぶことがたくさんあります。

こども達からのいろいろな発言を聞いたあと、うずくまった人物のポーズを男女のグループに分かれて、身体を使いまねてみました。
はじめに、女子グループは作戦会議から行い、男子グループは人物の腕や脚をどこに配置させるか身体を動かしながら考えていました。話し合いが終わると、それぞれが考えたポーズを発表。
男子グループは精鋭の3人が手と脚と頭それぞれの部分を担当して完成。
一方、女子グループは全員の手と脚を使いポーズを再現していました。(写真下)
両チームとも作品の手や脚の位置などがどうなっているのか何度も作品を見ながら、ポーズをどのように表現するか試行錯誤していたのが印象的でした。

後日、学校からいただいたこども達のアンケートには、
「《重い手》の絵を再現することが楽しかった。再現することで絵の人の気持ちなどがわかった気がした」
「自分たちでポーズをとったら、とてもおもしろい作品だと気付いた」とあり、
こども達の中には見るだけでなく身体を動かし鑑賞してみることで、作品に対する多くの発見や新たな解釈が生まれたようです。
今回の経験を元に気づいたこと、感じたことを色々な形で表してもらえたら嬉しいです。そして、その場に立ち会えることを楽しみしています。(N.M)

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