2020年03月16日(月)

アーティストの一日学校訪問(梅沢和木さん)レポート3

アーティストの1日学校訪問

5校目】 2020121日(火) 東京都立府中けやきの森学園 高校2年生18

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校目となるのは、特別支援学校の高校2年生18人です。
はじめに20分ほどかけて梅沢さんの作品紹介です。

ご自身が手掛けた作品写真を見せながら、どのような関心や意図をもって作品を手掛けているか丁寧に話していきました。生徒さんたちは梅沢さんのお話に、時にうなずいたりする姿も見られ、じっくりと耳を傾けている様子が伝わってきます。

制作がスタートすると、どうして良いかわからずに手が止まってしまう生徒さんはあまり見られず、鉛筆で下書きをしてから進めたり、はじめからペンで勢いよく描いていったりと、それぞれの方法で取り組みます。
多くの生徒が内からあふれ出てくる言葉や絵を描きとめるかのように紙と向かい合っていました。中には描けないと話す生徒さんもいましたが、梅沢さんからのアドバイスを受けながら制作を進めていきました。

好きなものの写真や新聞を持ってきている生徒さんもおり、それらの素材を貼り付けたり、定規を使って大好きな車の絵を描いていったりと、それぞれの方法で画面を作り上げていきました。

1時間弱の制作時間にも関わらず、画面いっぱいに余すところなく書いている生徒も多く見受けられ、一人ひとりの興味・関心を垣間見ることができる作品が出来上がりました。
最後は全員の作品を貼り出し、1点ずつ梅沢さんがコメントしていきます。

  • ※プライバシー保護のため、名前が書かれている部分は「なまえ」としています。

電車の路線や駅名が印象的な作品では「電車の密度がすごいですね。細かく書くのも才能の一つです」と梅沢さん。
他にも「描き出している言葉のバリエーションが豊かだね。検索しても出てこないような個人的な言葉もあれば社会的な言葉もあったりと幅広いです」「いっぱい描いてなくても良いのです。描いていないことで発見できることがあります。これだけたくさんの作品があるから気づくことでもあります」などと、一人ひとりの作品を認めていく言葉がけをしていきました。

最後の振り返りで先生からは「“上手に描くことが良いこと”といった意識が生徒の中に少ながらずあるが、今回の学校訪問の授業ではそれとは違う、ということが伝えられたのではないかと思う」とのコメントがありました。

【6校目】2020年2月6日(木) 中央区立月島第一小学校 6年生2クラス55人

最後の実施校となる月島第一小学校では、卒業を間近に控えた6年生2クラスをクラス別で実施しました。
学校の先生による事前授業では、自分地図をつくるための“準備のための紙”への記入や梅沢さんの動画を紹介、当日使うコラージュ素材の準備を行ってくれました。その事前授業で、こどもたちが感じたことや質問を先生が一覧にまとめておいてくれました。そこには「自由に描いているのにあんなにきれいなんだなと思った」「梅沢さんは自分の心を絵で表す人」「発想力がすごい」「現代アートに興味がなかったが、おもしろいと思った」などのコメントが。
こどもたちは梅沢さんへの関心も高まっており、授業当日を楽しみにしてくれていたようです。

クラス別での実施となったため、いずれも25人ほどのこどもたちを対象に実施。
梅沢さんの自己紹介では、高校生時代に制作した作品の話から、数日前に完成したばかりの作品まで、幅広く制作についてお話がありました。

授業が始まると、事前に用意したコラージュ用のパーツを大胆に配置し始めたり、あえて貼らずに、切り抜きを参考にして自分で描いたりと、それぞれにこだわりを持って制作を進めている様子が伝わってきました。同じ机の友だちと話をしながら制作を進めていきます。

梅沢さんは各机をまわりながら、声をかけていきます。

限られた時間となったため、完成に至らない子もいましたが、ここまでの過程を見ることも重要です。最後はパネルに貼り出し鑑賞会と梅沢さんからコメントしてもらいました。梅沢さんは、一人ずつ丁寧に作品の良いところを伝えていきます。

今回の授業では、コラージュ用の素材が潤沢に用意されており、中には自分自身を振り返って出てきたものではなく、いつか行ってみたい国の写真や、自分の心に響いた博物館の展示作品など、今現在や未来へとつながるようなものを選んでいる子もいました。用意したチラシやパンフレットなどの切り抜きからも刺激を受けながらの展開となったようです。

  • ※プライバシー保護のため、名前が書かれている部分は「なまえ」としています。

大好きな電車の絵を描いたり、最近釣りに行くようになったことを受けて、魚の切り抜きから展開させた画面を作ったり。

梅沢さんからは「完成した作品が、最初にイメージしていたものとは変わっている、ということがいいね。物語をつくるように絵を描いている」「思い切りがあって大人にはなかなか描けない絵ですね」
「字の勢いがカッコイイ!文字に対して小さな電車の絵と余白が面白い」など、一人ひとり的確な表現で作品について触れていきます。
限られた時間にはなりましたが、両クラスとも意欲的に取り組んでくれました。

今回、全6校での実施を通して、最後に梅沢さんから「卒業した後、5年後、10年後に「自分地図」を見てほしいと思います。その時には全然違う見え方がすると思うので、大事に取っておいてもらえたら」とのメッセージが伝えられました。

今回の授業は、梅沢さんご自身の作品が自分の好きなものや興味のあること、関心ごとなどに紐づいてできており、そういった過程に注目し“自分地図”という課題を通して自身を振り返ってもらおうということがテーマになっています。
事前授業から始まり、当日の制作までを通して“自分自身をよく考える”きっかけになったのではないでしょうか。
(A.T)

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