2018年12月03日(月)

あたり前を見つめて

スクールプログラム
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現代美術の作品の中には、日用品を素材にしたものや、
当たり前と思っている事象を別の視点から見つめなおし、
新たな気づきや発見を促すといったものが多くあります。

今回、目黒区立烏森小学校で行った出張授業では、
そうした現代美術の表現を通じて、想像力や観察力を高め、
自分なりの見方や感じ方を深めることをねらいとしました。

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対象は6年生。2クラス合同の授業。
場所はランチルームで実施しました。
初めに東京都現代美術館について説明した後、
収蔵作家である、白髪一雄、冨井大裕、
ヤノベケンジの代表作品を紹介し、
足で絵を描く人がいることや、
スーパーボールやストロー、自動車など
日常使用するものが作品の素材となることなどを
レクチャーしました。
次いで、当館の収蔵作家である泉太郎の映像作品を上映し、
その作り方や仕掛けを考えてもらいながら鑑賞しました。

鑑賞が苦手といっていたこどもたちでしたが、
積極的に想像したことや気がついたことなどを発言してくれ、
特に泉太郎作品では、どの作品でも笑い声が上がり、
その制作方法にも関心を寄せていました。

休憩を挟み、後半の授業では、
泉太郎作品《ナポレオン》にならって、
自分たちでも同様の手法をもちいて映像作品を作ることに挑戦しました。
《ナポレオン》は、泉氏がフランスの街中を散策し
目の前の人物や木の切り株、落書きなど見つけたものに手を伸ばし、
グッとにぎってカメラの前で手のひらを広げるとそれらが
手のひらに描かれており、目の前の対象をつかみとるように見える作品です。
この作品は、あらかじめつかみ取りたい対象を手のひらに描いておくのがミソ。
あとは、あたかも対象をつかまえたかのように手をにぎったり広げたりするだけ。

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こどもたちはグループにわかれて友達同士をつかまえる感じで
映像作りをおこないました。
方法は理解していても、実際にやってみると
つかみ取るタイミングや対象との距離をとる工夫が必要で
なかなか思うようにはいきません。
しかし、だんだんと要領を得てうまく撮影が進んでいきました。

最後、完成した全作品をみんなで鑑賞。
泉氏の撮影方法にはなかった、つかみ取った後に人物が画面から消えたり、
着ていたTシャツの柄がなくなったりといったトリックめいた技を
駆使しているグループもありました。
短時間ですがあたり前に見つめている日常を変える経験ができたようです。

現代美術とこどもたちとの相性は良いと日ごろから感じています。
丁寧に現代美術の世界を伝えることで、
こどもたちはあっというまに自分たちのものとすることができます。
こうした柔軟性は、やはり小学生ならではの得意技なのではないでしょうか。(G)

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