第57回MOT美術館講座を開催!
「MOTサテライト 2018秋 うごきだす物語」の
関連プログラムとして2回にわたり、第57回MOT美術館講座を開催しました。
(当館は現在休館中のため、会場はTHE FLEMING HOUSE (10月27日)と
リトルトーキョー(11月10日)で行いました。)
1回目は、10月27日(土)に、
「アート×落語―交わることで生まれたもの」と題し、
ヂョン・ヨンドゥさん(MOTサテライトの参加作家)の
映像作品に登場する三遊亭歌司師匠の落語上演と対談を行いました。
はじめは、落語。演目は古典落語の「死神」。
演目のまくら(導入部分)では、ヨンドゥさんの作品にも出てくる小噺や
清澄白河の町に関する話なども披露され、
師匠の巧みな話芸に観客は聞き入っていました。
落語上演後、一旦休憩。次いでヨンドゥさんと歌司師匠による対談。
まず、司会のMOTサテライト担当者から
ヨンドゥさんの活動やMOTサテライト出品作と関連がある
作品《ワンダーランド》、《A Girl in Tall Shoes》などの説明があり、
ヨンドゥさん自身からも作品の特徴について話されました。
今回、ヨンドゥさんは商店街の店主や地元小学校の児童などを
リサーチして作品を制作しており、
作品に落語を取り入れた理由や
制作過程のエピソードなども語られました。
その他、ヨンドゥさんからは歌司師匠が「死神」の演目を選んだ理由として、
「ろうそくの煤で描いた自身のドローイング作品に関連しているのではないか」など
様々なコメントをいただきました。
一方、歌司師匠からは、
ヨンドゥさんから出演の依頼があったときのエピソード紹介や
落語で複数の人物を演じるときの声の出し方の実演などがあり、
終始、和やかな雰囲気の対談となりました。
実施後にいただいたアンケートでは
「アートに対する興味が増しました。展示会場にもう一度行ってみます!!」
との声をいただき、今回の講座によって作品に興味を持っていただけたことがうかがえました。
2回目は、11月10日に、
「MOTコレクション―保存しながら見せるということ」と題し、
MOTコレクション(東京都現代美術館収蔵作品)についての
レクチャーを開催しました。
講座では、当館事業係長が講師となり、
東京府美術館(1926年開館、1943年に東京都美術館と改称)から
移管してきたコレクション作品のことや作品の収集、修復、保存や
それに関わるエピソードなどについて作品や休館中の活動の様子を
スライドで見せながら話しました。
修復活動の例として、宮島達男の作品
《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》
を挙げ、LEDで作られている作品の特徴や専門家が行った
修復作業の様子について現代美術作品特有の事例を
具体的に紹介しました。
開催後にいただいたアンケートには
「作品を保存することの苦労、様々な問題とそれらに対する取組など
おもしろいお話がきけてたのしかったです。美術館に行くたのしみが増えました!!」、
「保存にとても苦労している事を知った。美術作品をその苦労も考えながら
見たらおもしろいと思う。様々なタイプの作品があると知った」、
「東京都現代美術館にまたいこうと思えた」などの声をいただき、
作品を保存することや当館について関心をもってもらえたようです。
なお、講座では試験的に手話通訳を導入し、
実際に聴覚に障害のある方も数名参加され、
運営やアクセシビリティーについてのご意見も
頂戴することができました。
今回の講座で現代美術の作品やMOTコレクションを深く知っていただく機会となりました。(N.M)