2018年01月08日(月)
「食と言葉」の関係 第2回目
MOT美術館講座
MOT美術館講座「食と言葉」の2回目の報告です。
(実施日:2017年11月4日)
講師には1回目同様、アーティストで料理家の岩間朝子さん(写真下:左)以外に
ゲストを迎えてレクチャーパフォーマンスを実施しました。
今回のゲストは芸術学の上崎千さん(写真上)。
タイトルは「啜る/綴る」。
このタイトルは、今回お二人の中でテーマとした「スープ」
という発音時の口の形が、啜る、綴ると同じであることから
着想を得ています。
上崎さんと岩間さんとが協働で「スープ」の内容
(素材やそれらにまつわるテキストなど)を事前に話しあい、
今回のメニューが決定していきました。
当日は、実際に岩間さんが5種類のスープを作り参加者に提供しました。
上崎さんは、それぞれのスープにまつわるさまざまな薀蓄を語るという内容で
レクチャーパフォーマンスは進行しました。
ただし、参加者は5種類のスープ全てを食せるわけではなく、1種類のみ選びます。
上崎さんがレクチャー対象のスープについて語っている時は、
そのスープを選んだ人のみが食べることができ、
選んでいない他の参加者は、食べている人の様子を見ているのみ。
見られているほうもなんだか気恥ずかしい気分でスープを口に運びます。
目と舌で味わい、においを嗅いで、スープを啜る音、レクチャーの言葉に耳を傾け、
思考してと、まさに五感をフル活用して参加しなければいけません。
ちなみに、当日用意された5種類のスープはこれ。
【玉葱のツヴィーベルズッペ】
【トウモロコシのポタージュ】
【まこもだけの真菰粥】
【柿と牡蠣の平茸のスープ】
【ミネストローネ:遅延者のためのスープ】
上崎さんのお話は、
「はたして"スープ"自体が岩間さんのアート作品なのか、
それともおいしいスープなのか」と参加者に問いかけることから始まり、
スープに用いられている食材の話題はもちろん、
食べ物はおいしいと思考が停止するとも語り、
話はどんどん広がってダーウィンの進化論にまで触れ、
岩間さんのスープのように複雑で芳醇な話題の数々を提供してくれました。
今回の参加者は、おいしいスープを食し、時折思考停止に陥りながらも、
上崎さんのお話に耳を傾けるという困難な状況に立ち向かいながら、
最後はあまったスープに希望者が殺到し終了しました。
やはり"おいしい"ことは強力なパワーなのだと感じた
レクチャーパフォーマンスでした。(G)