"多摩地区限定"アーティストの 一日学校訪問(石田尚志さん)レポート
休館中の特別プログラム、『アニメーション』をテーマとする
"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問を担当してくださったのは、
画家・映像作家の石田尚志さん。
「時間を描く、踊る点と線」と題し、映像制作に関わるレクチャーと
16mmフィルムを用いた映像制作を行いました。
訪問1校目は、豊かな緑に囲まれた地域に位置する奥多摩町立古里小学校です。
一人分ずつカットした、透明と黒の2種類の16mmフィルムを用意。
石田さんから48コマ分のフィルムがいったい何秒分の映像になるかと問われると
こどもたちからは「1時間」「1分!」などの声が。
正解が「2秒」であることが告げられると、驚きの声があがっていました。
透明のフィルムにはカラーペンを使って自由に絵や線を描き、
黒いフィルムは、カッターやニードルなどを使い、フィルムを削りながら
描いていきました。
描き終わったら、専用の機械でつなぎ合わせ、1本のフィルムにします。
別室に移動し、石田さんご自身の作品や他の作家による映像も見せていただいた後、
完成したフィルムの上映会を行いました。
映し出された映像は、意図していた向きとは上下や左右が逆になっている部分もあり、
思わぬ面白さと出会うことができました。
一人の担当部分は2秒と短いにもかかわらず、自分や友達が描いた絵は
すぐにわかるようで、色々なコメントが飛び交っていました。
石田さんが用意した流行のポップソングやアニメソングをかけて鑑賞したり、
影をつくって楽しむ時間も。曲によって映像から受ける印象も変わります。
さらに、こどもたちの作品に他の映像を重ねて投影。
二つの映像が交じり合うことで、複雑で奥深い映像の世界が広がっていました。
訪問2校目は、調布市立八雲台小学校です。
6年生2クラス63人合同での実施となった今回は、フィルムは切らずに
机に沿って這わせ、みんなで協力しながら描いていきました。
隣りに座っている友達と、つなぎ目となるコマをどうするか相談する姿も。
石田さんからアドバイスを受けながら、描き進めていきます。
色面を作ったり、1コマずつ動きを意識しながら人物を描いたり。
思い思いの方法でフィルムに描いていきます。
完成したフィルムの上映会。
コミカルに動く人物や不思議に変化するキャラクター、
抽象的な線や複雑に重なり合った色など、
個性にあふれる約4分間の映像作品が完成しました。
石田さんご自身や他の作家の映像を鑑賞した後は、こどもたちの
映像に重ねて映写。
さらにその映像の前で何人かが出てきて、バックミュージックにあわせて
自分たちの影を意識しながら動いてみたりと、
身体全体を使って映像を体験するひと時となりました。
(A.T)
(調布市立八雲台小学校での写真撮影:中島佑輔)