"多摩地区限定" アーティストの一日学校訪問(内海聖史さん)レポート2
4校目の実施は、東星学園小学校です。
当日はインフルエンザ流行の影響により、お休みも多くありましたが、
参加してくれた3年生2クラス30人のこどもたちは、こちらが驚くほどの
意欲で取り組んでくれました。
この日のために先生が用意してくださった、専用の絵具ボトルを使って
色を混ぜ合わせ、床に敷いた養生シートの上に紙を置き、
大きく手を動かしながら色を塗っていきます。
絵具を飛ばしたり、手を使って描いたり、紙の上に複数の色を置いて
画面上で混ぜ合わせてみたりと、思い思いの方法で描いていきました。
昼休みの間に、乾いた作品を内海さんとスタッフとでつなぎ合わせ、
講堂のステージ上のバトン部分に貼り付け展示を行いました。
5時間目が始まり、鑑賞の時間がスタート。
内海さんの合図と共にバトンが動き始め、自分たちの描いた作品が
次第に目の前に立ち上ってくると、こどもたちからは大きな歓声があがっていました。
制作総数は212枚で、一人約7枚を描いたことになります。
内海さんからは「枚数を重ねて描くことで、より豊かで複雑になり、前とは違う
描き方ができるようになる」といったお話がありました。
こどもたちの作品鑑賞が終わると、視聴覚室へ移動して内海さんが持参してくれた作品を鑑賞しました。
内海さんへの質問タイムでは、
「どうやって描いたんですか?」「何日くらいかかりましたか?」
「どうやってこの作品を持って来たんですか?」「絵描きになって何年ですか?」など、
尽きることなく質問が上がっていました。
(東星学園小学校での記録写真:中島佑輔)
最後の訪問校は、八王子市立第五小学校です。
5年生3クラス86人合同で、体育館での実施となりました。
たっぷり用意された絵具を用いて、伸び伸びと描く子どもたちの姿が印象的だった
第五小学校での実施。
一枚目からドリッピングに挑戦したり、枚数を重ねるごとにドリッピングで
絵の具をたらす高さを変えてみたり。
また、ロールシャッハ・テストのように絵の具を盛った画用紙を二つ折りにして開いたり、
画用紙二枚を並べて一つの絵を描いたりするなど、
描く道具が刷毛の一種類しかなかった
にもかかわらず、実験的で多彩な表現を見ることができました。
5校時にスタッフでこどもたちが描いた318枚の作品を貼り合わせ、
用意してあった吊るための垂木に取り付けて準備。
6校時目が始まり、こどもたちがそろったところで、内海さんの合図を受けて
作品を4メートルの高さまで吊り上げて展示を行いました。
最後に内海さんの作品鑑賞タイムでは、こどもたちからは多くの質問が
あがっていました。
後日送っていただいたこどもたちの感想文には、
「内海さんの作品をみた瞬間、本当にすごい、すごいなんてものじゃないくらい
すごかった。これが心打たれるっていうことかと、人生で初めて実感しました」
「僕は色というのは決められているものだと思っていました。緑なら緑、青は青。
でも違いました。色は自分で作るものということがわかりました」
「自分は図工が好きでした。今回の内海さんの授業で、もっともっと図工が
好きになりました」
などといった感想が寄せられました。
アーティストと直に接することによって、新たな表現や考え方と出会う機会と
なったのではないでしょうか。
(A.T)