アーティストの一日学校訪問(淺井裕介さん)レポート その4
写真:かくたみほ
こうして、3つの内容別に行った6校の授業が無事終了しました。
授業後にいただいた先生からのアンケートを読むと、
「こどもたちがどんどん手を動かすのにびっくりした」という感想が目に付きました。
淺井さんが授業テーマに掲げた「絵が生まれてくる場所は、どこにでもある!」。
この「場所」とは、単に物理的な空間を指すものではなく、
作品が表われ出る際の衝動や、根源を指していたような気がします。
今回の学校訪問においては、淺井さんが実際に描いている姿や声掛けによって
揺さぶられるこどもたちの心や、友だちや先生たちとのコミュニケーションから、
絵は、どんどん生まれていたように思いました。
最後に、淺井さんからの感想をいただきましたのでご紹介します。
「描くという運動」
6つの学校でこどもたちと一緒に作品を作ることができ、思ったのは、
絵を描くのは、なんて挑戦的でドキドキすることなのだろうということ。
さっきまではなかったものが、2時間後には目に見える、
手に触れられる形になってそこに生まれている。
精一杯真剣に、夢中になって、丁寧に、野蛮に、
暴力的にたくさんの手が一つの作品の中に入っていく。
様々な時間を重ね、つなぎ、折り合わせていくような運動の数々。
小さな点がビックバンを起こしてあっという間に広がっていく、その驚き。
開始5分後と、終了5分前のこどもたちの手の動きの違いを見て、
この描くという運動の先にはいったい何があるのか、
まだよくわからないけど、それでもそれは挑戦だし、
もっともっと描き続け、この描くという行為そのものを伝えていきたいなと、
たくさんの勇気をもらったように思います。
今回限られた時間と条件の中で、テープやペン、土など
それぞれ精一杯制作を行えたこと。
一緒に作ったこどもたち、
打ち合わせと全然違う展開になることもちらほらあり、
多大なご協力とご心配をかけた先生方、
そして美術館のスタッフの皆様に感謝します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――― 淺井裕介
来年度も、学校側のニーズに寄り添いながらも、
アーティストにとって新たな活動の場ともなる「学校訪問」の意義を、
さらに深めていければと思います。
また新たなこどもたちや、先生との出会いを楽しみにしています。
(J.O.)