2016年09月12日(月)
校内展覧会について考える
スクールプログラム
夏休み中に行った教員研修会の様子をお伝えします!
今回研修会を実施した場所は墨田区立曳舟小学校。
墨田区の図工部は、毎年夏休みに当館を研修の場として
活用してくださいます。
しかし、今年は休館中ということもあり、
学芸員が学校に出向いて研修会を実施(8月26日)しました。
研修担当の先生と今年はどのような研修内容にするか
事前に打ち合わせをしたところ、
毎回校内展覧会について頭を悩ますそうで、
今年はこの校内展覧会をテーマに研修をすることになりました。
新任や若手の先生にとってもベテランの先生からノウハウや校内展覧会に
対する考え方を伺える良い機会となります。
研修ではまず初めに、学芸員がこれまで見たいろいろな校内展覧会について、
その時に感じた疑問や展示の工夫などをお話しながら、
そもそもなぜ校内展覧会をやるのか?
という基本的な問いについて、先生方とディスカッションを行いました。
「校内展は、こどもたちの図工のがんばりを紹介するだけではなく、
こどもたちの作品を通じて見た人が自分と向き合い、つながる場」
であるとベテランの先生がおっしゃってくれたことが印象的でした。
また体育館などで展示をすることが多いのですが、
そのことに関し別の先生は、
「いつも見慣れた場所が違った場所、異空間へと変化する
"わくわく感"を演出する」
と、展示空間そのものが未知なる体験の一端を担う場となる
重要性を説いてくださいました。
さて、校内展覧会についてあれこれ議論したあとは、
美術館ではどのように展覧会が作られるのか、
その作り方をレクチャーしました。
個展やクループ展に分かれていること、展覧会の構造、テーマの設定など、
基本的な展覧会の作り方を校内展覧会と比較しながらお話しました。
研修後半は、グループに分かれて現代美術館オリジナルの
アートカードを使って、展覧会を作ってみる実践を行いました。
テーマや見せ方、使用作品はグループ毎に考えてもらい、
全部で4つの展覧会が完成しました。
完成後は、各グループの展覧会を鑑賞し、
どんな展覧会なのかを想像してもらった後に、
グループ毎に展示テーマなどを発表してもらいました。
「壁にたくさんの覗き穴が開いていて、穴のまわりには
キーワードが書いてあり、覗くと該当作品が見える仕掛けに」
「展示室全体がフライパンになっていて、壁面に飾られた作品を
ぐるりと見ていくと、ひとつの料理が完成するストーリー仕立ての構成」
「"生きる、ということ"をテーマとしたメッセージカードを
手にしながら展示室を巡り、洞窟のような場所を潜り抜け、
階段を上り下りしながら人生について考えてもらう展示」
「作品の絵柄に合わせてアスレチックのように運動したり、
パズルをしたり、回してみたりと各所でアクティビティが用意されている展覧会」
研修会に参加した先生からは、
「展覧会のイメージが全くなかったので、
テーマの立て方や展示の仕方など具体的にイメージできました」(教員1年目)
「若手に全てをまかされているような気がしてプレッシャーを
感じていますが、アートカードでの活動を通じてもっと前向きに楽しく
展覧会作りをこどもたちとしてみたいと思いました」(教員2年目)
「空間を作り出すという発想が今まで無かった。
このようにしかけのある面白い空間を作ってみたい」(教員12年目)
「校内展覧会は、私たちにとって大きな大変な仕事ですが、
お互いがどんな思いで取り組んでいるのか相談しあえることが
出来てとても良い機会でした」(教員33年目)
などと振り返りの感想があり、今回の研修会がお互いに刺激となり、
実際の展覧会作りに向けて多数のヒントを得たようです。(G)