「カラダ」ワークショップ こども編
「カラダを通してみる美術」と題し、美術を新たな視点でとらえ、
作品鑑賞のきっかけを広げることを目的としたワークショップを実施しました。
企画・指導は、身体を使った芸術鑑賞を提案するワークショップを
行っている美術家の高橋唐子さん。
ワークショップは、小学3~6年生を対象としたこども編と
中学生以上を対象としたおとな編とで実施日を分けて開催しました。
2月6日(土)のこども編では、小学3年生を中心とした10人が参加。
はじめに高橋さんから「今日はいろんな見方で作品と向き合います。
そして、"カラダ"を使って考えて、それを人に伝えることをやりたいと思います。
だから今日は最後に発表します!」
とのお話がありました。
参加者の自己紹介と準備体操が終わると、高橋さんが選んだ、
現代美術館所蔵の9作品をプロジェクターで投影して紹介。
まずは高橋さんと1時間ほどかけて、作品鑑賞を行いました。
白髪一雄《無題(赤蟻王)》では、
「真ん中の黒いところから枝が出ているみたい」
「いろんな色の蛇がいるみたい」
「目や胴体のようなものが見える」
などといった意見がこども達から出ました。
高橋さんから「どうやって描いたと思う?」と聞かれると
「すごく太い筆」「ハケで描いて、細かいところは筆!」
と言う子もいれば、
「指の跡のようなものが見えるから、足で描いた!」と
正解をするどく当てる子もいました。
スライドショーでの鑑賞を終えると、その内3点が展示されている
常設展示室3Fへ実物の作品を見に出かけます。
宮島達男《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》
では、プロジェクターで投影された静止画との違いをこども達が語ってくれました。
「作品が光っている」
「ずっと見ていると数が出ていないところが上がっていくように見える」
「急いでいる感じがする」など、
作品を見て気づくことやそこから自分なりに想像したことを教えてくれました。
高橋さんから「身体で表すとしたら?」と問いかけられると、
高速でまばたきをして表現する子もいれば、
ピアノを弾くように指先を動かす子も。
さらに右手と左手の速さを変えて動かしてみる子など、
こども達は自分なりの様々なアイデアを答えていました。
午後からは、"カラダ"をキーワードに作品を見ていき、
それを身体で表現するとしたらどんな動きとなるか?
といったことをポイントに、創作に取り組みました。
絵画や彫刻作品の姿や形を真似するだけではなく、
作品から感じた印象や想像したことも身体で表していきます。
作品ごとに創作した9作品の動きは、ピアノの生演奏に合わせて
つなぎ合わせ、オリジナルの美術体操が完成!
最後に、保護者を中心とした観客の前で披露しました。
全員で同じ動きをする作品もあれば、
一人ひとり自分なりの方法で表現する作品もあったりと、
1曲の中に様々な動きが構成されていきました。
最後に観覧してくれた方から感想を伺いました。
「普段、ただ作品を見ているときと違って、身体の様々な部分を
使った表現がリアルだった」
「いつも作品を鑑賞するときには、視覚に頼りがちだけど
作者の気持ちが乗り移る体験になったのではないかと思う」
などのコメントが寄せられました。
こども達からは「発表会が緊張したけど、楽しかった」
「絵は身体でも表現できることを知りました。とても楽しかったからまたやりたい」
「美術を身体で表現した発表会では、お客さんも楽しんでいたので本当にうれしかったです」などの感想が述べられました。
(2日目のおとな編に続きます)
(A.T)
写真撮影:川瀬一絵