2016年02月16日(火)

作品を食べる!? MOT美シュラン2016

ギャラリークルーズ
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今年度最後のギャラリークルーズは、
教育普及係のインターンが1年間の学びの成果として
考案したプログラムを実施しました。
(実施日:2016年2月13日)
事前募集チラシでは「何をやるかはお楽しみ!?」と
なっていたので、集まった10名の小学生たちも何をやるの?
と不安と期待の中でプログラムがスタート。

初めに2チームに分かれて自己紹介。
みんなの「好きな食べ物」を教えてもらいました。
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実は今回のプログラム、「もしも作品を食べたとしたらどんな味?」
「美味しそうな作品をさがしてみよう!」と味覚という感覚で
作品を見ることをテーマにしました。

題して「MOT美シュラン2016」。

しかし、作品を食べるってどういうこと?
みんなの頭の中には???がさく裂。
というわけで、まずは作品を食べる練習。
プロジェクターで現代美術館のコレクション作品の画像を
2点同時に見せて、どちらが美味しそうかデスカッションしました。
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色味や形状から味を想像したり、絵柄をお菓子のパッケージに
例えて見てみるとその中身はどんなもの?
など、だんだんと作品を「味わう」こつがつかめてきたようです。

練習の後は早速展示室(MOTコレクション)に出向いて鑑賞です。
こどもたちは、美味しい美術評論家になったつもりでチェックシートを
片手にこの作品のここがおいしそう、ケーキみたい、これはまずそうと
いろいろインターンとお話をしながらまわりました。
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一通り鑑賞したあとは、いよいよお気に入りの1点を選んで
「美シュランシート」の作成。作品の印象を絵に描いて、
評価のポイントを記します。そして、もちろん星マークも付けます。
最高は3ツ星! 
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シートの作成の後は、該当作品の前で発表会を行いました。
選ばれた作品は、例えば画鋲を壁一面に刺して構成している
冨井大裕の《ゴールド・フィンガー》。見る角度によって
キラキラ輝いて見えます。
「とても豪華で高級みたいで食欲がわいてくる。真っ金々できれい」と
美味しいポイントを評価。3ツ星でした。
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また別の子は、分度器や三角定規を熱で溶かして形を変形させた
豊嶋康子の《定規》を選び、
「いろんな形をしていて、とけたあめみたいでおいしそう。
色もさまざまで、もようもたくさんあっておいしそう」
と評してくれました。2ツ星でした。

一方、味は美味しいだけではありません。
なかにはこれはまずそうだとか食べにくそうといった視点で
作品を選んでいた子もいました。その場合は、星はマイナスだったり
ゼロだったり。
味覚というテーマだからこそ、うまい、まずいといった両方の視点で
作品を味わえるのもこのプログラムの醍醐味のひとつです。

実施後のアンケートには、
「(作品を)食べるといわれてはじめピンとこなかったけど、
ちょっと見る目を変えるとアイスとかクッキーとかに見えて、
今ではペンもほそながいアイスに感じるようになりました」
「見る目を変えるだけでこんなにちがうんだと思った」
「そんなこと考えてもいなかったということを考えたりすると
こういうふうにみてもおもしろいなと思いました」
など、見方を変えると作品の見え方、感じ方が一味もふた味も
変わることに気が付いたようです。
みなさんも作品を食べて見るという視点でぜひ鑑賞してみてください。(G)

教育普及ブログ