2015年10月29日(木)
アーティストの特別授業!
スクールプログラム
前回報告した学芸員による出張授業以外に、
現代美術館では、スクールプログラムの一環として、
アーティストによる一日学校訪問というプログラムを実施しています。
これは当館のコレクション作家の中から毎年1名を選び、
都内の小・中・高・特別支援のうち6校を訪問し授業を行うものです。
その年度に実施する事業に関しては、費用は全て美術館で負担します。
しかし、過去に訪問したアーティストに授業に来てほしいという
リクエストが個別にあった場合、作家への謝金や交通費などを
学校に負担していただき、美術館が学校とアーティストの間を
取り持つことも行っています。
今回、江戸川区立下小岩第二小学校から
開校60周年を記念してぜひアーティストとこどもたちを
出会わせたいというリクエストがありました。
希望は全校児童に体験させたいというもの。
前回の青山小学校もそうでしたが、
やはり特別な授業は特定の学年だけでなく、
全てのこどもたちに体験させたいようです。
そこで今回は、2014年度に訪問作家として選定した
森千裕さんにお願いし、授業は10月16日(金)に行いました。
※森さんによる学校訪問の詳細は、過去のブログ記事(2015年3月)を
ご参照ください。
授業の内容は、森さんの学校訪問で以前実施したプログラムを
学年ごとに分けて丸1日かけて実施しました。
1、2年生は「小さな落書きを巨大にしてみよう」。
透明なシートに落書きをしてOHPで拡大しました。
自分や友達の絵が、一瞬で大きくなる不思議な感覚を
体験してもらいました。
5、6年生は「今はないものを絵に描いてみよう」。
自分の身の回りで無くなったもの、夢で見た世界、食べ物の記憶など
今はない、記憶にだけ存在しているものを絵に描いてもらいました。
そして今回新たに行った授業として
身の回りから集めてきた気になる「マーク」や「ロゴ」を集めてきて、
再構成して描く授業「気になるマークを集めて作品にしてみよう!」を実施しました。
こちらは3、4年生で実施しました。
授業を行った森さんは、
「こどもたちの純粋な頭の中をみんなで同時に覗くことが
できてとても楽しかったです!」と感想をくれました。
また、図工の担当の先生によると、
この日完成しなかった気になるマークの制作の続きを
後日4年生の図工の時間にやったそうです。
みんな集中して取り組み、身の回りのものを見ると
ついついロゴに目が行ってしまうという子もいたそうです。
早速、森さんの授業の影響があらわれているようです。
普段の学校生活ではなかなか出会わないアーティストという第三者が
介在する授業は、こどもたち、学校の先生、そしてアーティスト自身に
とって大いに刺激となり、さらに普段の図工では見せないこどもたちの
新たな側面に気づかせてもくれるようです。
こうした変化があるからこそ、この学校訪問の意義があり、
こどもたちの「生きる力」も育まれていくのではないでしょうか。(G)