2015年10月26日(月)

げいじゅつさがし大会!

スクールプログラム
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東京都現代美術館では、
リクエストがあれば教育普及担当学芸員による
出張授業にも応じています。
内容は、もちろん各学校との相談の上決定していきます。

今回は、港区立青山小学校から開校140周年を記念して
全校児童でできる図工の授業をお願いしたいと依頼がありました。

全ての児童が対象となるとなかなか難しいオーダーです。
1年生と6年生では理解度が違いますので。

しかし、青山小学校では、日頃から縦割り班といって
6年生が班長となり、異学年のこども達と一緒にグループ活動を
行う場面が多々あるそうです。
であれば、一緒に共同作業を行うことも可能なので、
全員で活動するイメージがわきました。

そこで、この出張授業では普段生活する学校で
自分が芸術だと思うものを探してもらう
「げいじゅつさがし大会」をやってみようと提案をしました。
(2015年10月3日実施)

何気ない図工室の床の絵具の汚れが絵画に見えたり、
階段の手すりの謎の突起物が彫刻に見えたり、
天井の換気扇や壁の模様もいろいろな視点や角度でみることで「げいじゅつ」に見えます。
これは作品鑑賞をするうえでも大切な「観察」する行為。
そして、それに自分なりに意味を見出し「想像」する行為へとつながっていきます。
いわばそうした取組を学校全体を使ってやってみようというものです。
普段生活する学校という日常が、芸術であふれる場として変容し、
こどもたちの物の見方がひろがっていくことを期待しました。

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事前に学芸員が学校を訪れ、まずは学芸員の視点で学校の中にある芸術
(に見えるモノ)を探しそれらをまとめた「芸術発見取材帳」を作成しました。
こども達には縦割り班の活動で、この手帳にのっている芸術を学校内(一部校庭)で
探し出してもらいます。全て探し終えると、最後は自分たちでオリジナルの芸術を
学校内でみつけ出し、その絵を描いてもらい、代表者を選出し、全校児童の前で発表して終了。

普段生活している学校のはずなのに、手帳にのっている「げいじゅつ」がみつからず、
四苦八苦しながらもようやく発見できると、みな一様に歓喜していました。
最後の発表会でも、面白い視点で見つけた「げいじゅつ」が沢山発表されました。

担当の図工の先生からは、授業後のこども達の様子について、
「高学年のこども達は、活動によって自分の視線・視点が変化したことに
気が付いていたようです。
中学年や低学年のこども達は図工の授業の中でふとした瞬間にあらわれる
ちょっとしたいい感じのものに"げいじゅつ"だねえといったりしています」
と後日コメントを下さいました。

また、保護者や他の先生方からも、こども達に様々な角度から物事を
見る事の大切さを気付かせるのにピッタリな授業だったという感想をいただきました。

日常の見方を変えることで見えてくる新しい感覚の広がり。
こうした体験は全ての授業においても大切な力となってくると思います。(G)

教育普及ブログ