2015年03月24日(火)
アーティストの一日学校訪問(森千裕さん)レポート その2
アーティストの1日学校訪問
当館収蔵作家の森千裕さんによる、
2014年度の「アーティストの一日学校訪問」。
次に行った授業テーマは「『今はないもの』を絵に描いてみよう!」です。
前は確かにあったはずなのに、何らかの理由で今はもうない、
でも心の中には残っているもの。
この授業では、そうした記憶を呼び起こして、絵に描いてみました。
この授業を受けたのは全部で3校。
まずは、港区立麻布小学校5年生の27人です。
最初に、森さんにとっての「今はないもの」について、
作品の画像を見ながらお話を聞きました。
見間違い、聞き間違いといったものも、「今はないもの」の中に含まれます。
それを踏まえて、こどもたちは思い思いに画用紙に線を走らせました。
描き終えると、掲示版に作品を貼り出し、何を描いたかを発表してもらいました。
夢に出てきたもの、大好きな食べ物...。
こどもたちのさまざまな「今はないもの」が現れました。
2校目は、練馬区立練馬第三小学校の5年生52人です。
この小学校では、森さんから事前のお便り『森だより』が届き、
それを読んだこどもたちが「今はないもの」を書いてくれました。
その中から、森さんが気になったものを発表。
自分が何を書いたのか、次々と名乗り出てくれて、
森さんとのやりとりが大いに盛り上がりました。
こどもたちは、指や新聞紙をちぎったもので、
器用にパステルを画用紙の上にぼかしていきます。
描いた作品は、床に広げてみんなで鑑賞しました。
3校目は、新宿区立牛込第三中学校3年生の82人です。
この中学校では、森さんが影響を受けたアニメや映画を鑑賞したのち、
クラスごとに教室で絵を描きました。
自分の腕をじっと観察しながら描いたり、
なかなか題材が思いつかずに机に突っ伏したり。
出来上がった作品は、自分たちで掲示板に貼り出します。
もうすぐ卒業を迎える3年生が、最後に美術と向き合う時間を過ごしました。
最初はなかなか筆が進まない人もいましたが、
「今はないもの」を思い出すために、自分の心の中に入っていく作業と、
それを色やかたちで表してみる体験をしました。
(J.O.)
(その3へつづきます)
写真:後藤武浩