2015年03月24日(火)
アーティストの一日学校訪問(森千裕さん)レポート その3
アーティストの1日学校訪問
今年の1月から3月にかけて実施した、
森千裕さんによる「アーティストの一日学校訪問」。
最後の授業テーマは、「小さな自分の『仏像』を作ってみよう!」です。
誰にでも、自分の願い事を託し、お守りにしたいものがあるはず。
この授業では、そうした自分の「念」のようなものを、
樹脂粘土を使って、いわゆる「仏像」にしてみました。
この訪問授業を受けたのは2校。
まずは、足立区立青井中学校2年生の50人です。
最初に、昔の仏像や、現代美術作家が作った作品を、森さんが写真で見せます。
さらに、森さんの作品の「千手観音」や「虚無僧」が紹介され、
これから作るものへのイメージをふくらませました。
中学生は粘土を持たせると、立ち上がって勢いよくこね始めます。
人型を後ろに反り返らせて複雑なかたちにしたり、
お団子をいくつも作って重ねてみたり。
完成後は、教室にあった花瓶や果物のサンプルと一緒に森さんが窓際に展示。
学校の一室に不思議な空間が出現しました。
もう1校は、品川区立城南小学校5年生の47人です。
小学校では、粘土をあらかじめ水で練っておきました。
手を真っ黒にしながら、メロンパンやハンバーガーを作る人がいるかと思えば、
竹串を思い切り刺したものや、恐竜のようなかたちも登場。
出来上がった作品を、いろいろな場所で自由に置き、
その場所で写真を撮ってみました。
昔の人々にとって信仰の対象であった「仏像」は、
今を生きるわたしたちにとって、どのようなかたちで表すことができるのか。
そんなことも考えてもらう機会になりました。
こうして、6校の訪問授業は無事終了しましたが、
実はこの「アーティストの一日学校訪問」の様子が、
現在開催中のMOTコレクション「コレクション・ビカミング」
で紹介されています。
森さんの作品とともに、森さんが選んだこどもたちの
「今はないもの」の作品と「仏像」作品が
作家本人のインスタレーションによって展示されています。
また、「小さな落書きを描いてみよう!」で
こどもたちが描いた落書きを展示室の壁に投影し、
その一部を森さんが壁面に描き写しています。
会期中に、この展示はさらに変化していく予定です。
森さんとこどもたちの交流の成果をぜひご覧ください。
(J.O)
写真:後藤武浩(展示室を除く)