2014年09月01日(月)

夏休みの教員研修会

スクールプログラム
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この夏休み中、当館では多くの学校教員のための研修会を
受け入れ実施しました。
その数全部で16件(学校への出張研修会も含む)、
565人もの教員の方々に対応しました。

研修内容は、事前に研修担当の教員の方と相談しながら決めていきますが、
やはり美術館ですので「鑑賞」ということがメインになります。
一口に鑑賞といってもその切り口は様々。
「鑑賞」と「表現」をどう結び付けるかを考えたり、
「キーワード」を足掛かりに作品へのアプローチを促すプログラムなど
いろいろなバリエーションの研修を行いました。

そんな中、今年新たな取り組みとして実施したのが、
展覧会で掲げられている「テーマ」そのものを題材にし、
作品鑑賞を通じながら、学校現場で起きている問題や教員の方々が
日頃抱えている悩みをデスカッションする活動です。

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これは、経験年数10年以下の若手教員を対象に、
当館と森美術館が連携して行った教員研修会です。
丁度夏休み中に開催していた企画展が2館とも「こども」を
テーマにしたものでした。

森美術館では、作品に表れるこどものイメージを通して、
社会で起こっているさまざまな事象に注目した
「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」を開催。
一方、当館では、こどもたちの身近にあって、興味の対象である
フルーツや電車などのモチーフをアート作品にした作家による
インタラクティブな空間体験を促す「ワンダフルワールド」展を
開催していました(いずれも8月31日に終了)。

教員の皆さんには、日を変えてそれぞれの美術館に出向いてもらい、
各館の教育普及担当スタッフが対応し、ディスカッションでは、
教員と両館の教育普及担当スタッフが一緒になって、展覧会を通じて
感じた「こども」をテーマにした話題を議論しました。

ディスカッション後の教員の皆さんの意見には以下のようなものがありました。

「『こども』の捉え方にもいろいろあり、教育現場以外の目線でも考えることができた」
「アーティストと教育者のこどもに対するねらいは異なっている。
でも、どちらもこどものことを考え、こどものためにという思いはあるので、
両者を理解した上で共に高めあえると良い」
「こどもみたいに楽しむこと、感じることができる大人でいたい」
「自分にないものがたくさんうまれた感覚を得た」
「いつもと異なる切り口から考えることでこどもの可能性をさらに感じた」
「学校やこどもは周りの世界からどう思われているのかを知ることができた」

展覧会のテーマそのものをきかっけにした議論や異なる館を
結び付けての連携研修会はいつもの研修会とは違った思考の
広がりをもたせてくれました。
また他館の教育普及担当スタッフ同士の交流という意味でも
非常に有意義な研修会となりました。

今後も異なる館同士で連携した教員研修会を継続していきたいと思います。(G)

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