2014年07月12日(土)

日・伊の『往復書簡』スタート!

ワークショップ
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今年度の夏のワークショップは、「発見の術」プロジェクト
「日・伊の『往復書簡』-新しい世界の出会いと、知恵を身につけるために!」と題し、
半年間(実施期間6月~11月、全6回)にわたる長期のプロジェクト型の
プログラムとしました。
これまで、当館では長期間にわたるワークショップを実施したことはなく、
初の試みとなります。

内容は、遠くイタリアに暮らす美術家の廣瀬智央氏と半年間にわたり
「文通」と「交換」-手紙や写真を撮るなどの行為-を行います。
この行為を通じて、日本とイタリアというお互いの生活の違いや
共通点を探りながら、普段見慣れた日常にいかに豊かな世界が潜んでいるか、
そんな出来事に出合うための新しい視点と、豊かに生きる知恵を身につける事に
挑戦していきます。

基本、廣瀬氏はイタリアから対応するため参加者の目の前にはおらず、
手紙の仲介・進行は美術館の担当学芸員が担います。
参加者との丁寧なコミュニケーションを図るため、参加人数も10名としました
(応募の関心も高く倍率は5倍!)。

また、このワークショップには、廣瀬氏から3つのテーマが提示されています。
それは、

「固定観念や先入観からの解放」
「体験と実践によるリアルの享受」
「世界の豊かさの発見」

これらに基づいて参加者一人ひとりが「生活の質」とは
何かを思考し、日常をもう一度見つめ直していきます。

毎回廣瀬氏からは手書きの手紙の他に当日行うプログラム、
次回までにやるホームワークの指示書が届き、その内容に従って参加者は、
美術館の活動スペースや日々の生活の中で写真を撮ります。
そして各自撮影した写真と手紙を廣瀬氏に返信するという流れです。

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先日ワークショップの1回目が終了しました(2014年6月29日実施)。
はじめ緊張していた参加者の皆さん。廣瀬氏の手紙が一人ひとりに手渡されると、
真剣に手紙に目をやり一心に読みはじめました。
その読んでいる姿は、なんとも美しいものです。

封筒の中には、手紙の他に氏のポートレート、そして氏の作品でもある
「空」の写真が入っていました。手紙には「最近一番驚いたことはなんですか?」
という質問がありました。

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その返答は、手紙を読んだあとに行った参加者同士の自己紹介で回答され、
また廣瀬氏への返事の手紙にも記述してもらいました。

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自己紹介のあと、和やかな雰囲気で互いのポートレートを撮影しあい、
これから半年間一緒に活動する仲間という意識が芽生えはじめたようです。

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最後、廣瀬氏への返事を書きます。
日頃文章を書く際の主流になっているキーボードが発するカタカタという音とは違って、
紙の上にペンをさらさらとはしらせる音は実に耳に心地よいものです。
お気に入りのポートレートを一枚同封し初回終了(廣瀬氏への返信のお手紙は、
美術館がまとめて発送します)。

ちなみにこの日のプログラムは、「参加者同士の自己紹介」「このワークショップの趣旨説明」「文通のルール」などで、ホームワークは「空」の写真を撮影し、次回お気に入りの空の写真を持参する事というもの。その他、自分の生活の中で「定点観測」のテーマを決めて、最終回までに継続して写真を撮り続ける事という指示がなされました。

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これからの半年間、廣瀬氏との文通や指示を通じ、参加者の中にはどのように
日常の見え方が変化し、豊かな世界が発見されていくのか楽しみです。(G)

記録撮影:後藤武浩

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