2014年03月19日(水)

アーティストの一日学校訪問(冨井大裕さん)レポート その1

アーティストの1日学校訪問

今年の1月から3月にかけて、
2013年度の「アーティストの一日学校訪問」を、
都内の6校(小学校4校、中学校1校、高校1校)にて実施しました。

訪問するアーティストは、美術家の冨井大裕さん。
日常のありふれた品を組み合わせることによって、
ものの意味や機能を解き放ち、新たな作品として発表している、
当館の収蔵作家です。

今回の訪問授業は、冨井さんにより「ファウンドコンポジション」
と名づけられた活動が中心となりました。
これは、学校の様々な場所を歩き回り、気になった、
あるいは美しいと思った「彫刻」(コンポジション)を
発見(ファウンド)し、それを授業会場に持ち帰り、再度組み立てる、
というプログラムです。
組み立てながら説明書を制作し、時間があればその説明書を元に、
他の生徒に再度組み立ててもらいます。

最初の訪問校は八王子市立川口小学校です。
参加した児童は5年生56人。
まずは体育館で、冨井さんが自身の作品を画像で紹介しました。
スーパーボールやストローで出来ている作品の数々に、
こどもたちからは驚きの声が上がります。
冨井さんが師と仰ぐ海外作家の作品や、
身の周りの何気ない風景から切り取られた
「彫刻」と冨井さんが捉える画像から、
これから自分たちが作る作品のイメージが湧いてきたようです。

4人の班に分かれ、「面白いもの」を探しに、中庭やグラウンド、
そして自分たちの教室を捜索開始!
外で見つけたジョウロやすのこを抱えきれないほど
体育館に運び入れていきます。(右)

「彫刻」を組み立てたら、次は誰もがそれを作ることができるように
説明書を書きます。冨井さんが黒板に書いた例(左)を参考に、
材料の数や組み立てた順番を書きだしていきます。

まだ土がついているブロックや丸太に、箒や傘をバランス良く載せて完成!
色の配置にも気配りがみられました。

2校目は武蔵野市立第三中学校。
2年生28人が参加してくれました。
冨井さんのレクチャーにも熱が入り、
檀上でゴミ箱などを使っての実演が始まりました。(左)
この回の制作会場は、地下にある集会室。
柔道の稽古に敷かれる畳が早速材料に使われています。(右)

組み立てる作業はみんな夢中でしたが、いざ説明書を書く段になると
作品を鑑賞する眼が必要になります。
作業が早く終わったので、違う班の作品を、説明書を見ながら
組み立ててみます。
「これって何のこと?」ああでもない、こうでもないと真剣そのもの。(右)
中学生ということで、一段階踏み込んだ行程まで進むことができました。

3校目の富士見丘高等学校では、
対象が2年生の美術選択者7名と少人数だったため、
冨井さんと一緒に職員室や廊下を歩き回って
「面白いもの」を発見してまわりました。
物干しラックに提げられた雑巾も、
冨井さんからの呼びかけによって
新たな「構成物」として浮かび上がってきます。(左)
この学校では捜索場所を美術室に限定し、ひとりずつでの制作作業です。
雑誌や定規、スケッチブックや馬簾など、
普段見慣れた材料が作品へとかたちを変えてゆきました。

説明書を作ったら、作品を一度解体し、台車に載せて移動。
廊下の一角に展示してみました。
展示は自分の作品ではなく、他の生徒の説明書を見て行います。(左)
学校に突如現れたギャラリースペースに通りがかった生徒たちもびっくり!
(J.O.)

(その2へつづきます)

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