2013年08月14日(水)
クールでカオスなパフォーマンス
MOT美術館講座
企画展「オバケとパンツとお星さま」の関連企画、
第47回MOT美術館講座。全5回の内の2回目の今回は、
「ステージのない音楽会―みんなで音の雲になろう!」です。
(実施日:2013年8月10日土曜日)
「お星さま」を担当しているデタラメ星座協会代表の村井啓哲さんが
講師として登場しました。
村井さんの「お星さま」の展示室では、鑑賞者がサイコロの
出た目に従ってオリジナルの星座をつくり、その出来上がった
星座が壁面に投影されていきます。作品名もずばり《デタラメ星座群》。
今回の講座では、お星さまに関連し、お星さまをさえぎるもの=「雲」に
なってみるパフォーマンスを行いました。
雲といっても水蒸気の気分になるのではありません。
お星さまの展示室では、デタラメ星座が音を奏でていることから、
みんなで「音の雲」になってみようというもの。
村井さんの自己紹介のあと、「まずは練習してみます。
こどもたち集まって!」という問いかけに会場のこどもたちも
「何が始まるのだろう?」とちょっと緊張の様子。
保護者のみなさんもそっと見守ります。
袋からなにやら意味不明な文字の書かれたシールを取り出す村井さん。
「このシールにはひらがなが書いてあります。意味はありません。
これは、展示室でみなさんが作ってくれたデタラメ星座の星座の名前です」。
そう、このシールはデタラメ星座の名前が書いてあるのです。
例えば、「げそたがそ」「ちみゆ」「へぶごへばど」「んへを」など
意味をなさない言葉ばかり。
引き続き村井さんからの指示。
「いっせいにほうりなげるので、ひろって自分以外の人の
背中にシールをはってください」。
シールが宙を舞うと、こどもたちは「わー」と一斉にひろって、
相手の背中に貼り始めました。もうこの段階でパニック状態です。
シールを貼り終えると横一列に整列。次に村井さんが取り出したのは、
筒状のアルミホイル。整列したこどもたちに腕を肩幅で広げて前にだして、
アルミホイルをつかんでいるようにと指示をだすと、
どんどんアルミホイルをのばしていきます。
今度は村井さん、団扇を手にしています。
「この団扇で一人ひとり仰ぐので、風を感じてちぎれたアルミホイルを
つかんだまま舞い散ってください。みなさんは雲です!
雲は風で飛ばされますよ。」
この時点でかなり不思議な状況ですが、こどもたちもいわれるがままに
団扇で仰がれてふらふら、ゆらゆらと動きます。
微妙にアルミホイルが小さくカシャ、カシャと音をたてます。
実はこの音が「伴奏」になります。
風に仰がれながら相手の背中に貼られた文字を小さな声で
読み上げるよう村井さんからさらに指示がでます。
この文字を読み上げる声が「歌」となります。
この声とアルミホイルの音が重なって「音の雲」の誕生です。
実にシュールで混沌としたパフォーマンスなのです。
さて、いよいよ本番、エントランスに出向き、練習と同じような流れで
「音の雲」の音楽会が始まりました。
保護者にも団扇を渡して仰いでもらいます。
本番では、長い長いエントランスをアルミホイルを持ってひらひら、
カシャカシャしながら、何やら謎の言葉をつぶやく小さな集団が
右往左往している様子に館内にいたお客様も一体何事?
という表情で立ち止まっていました。「クール!」という外国人も。
最後団扇で仰がれながら村井さんのところに集まってきて、
村井さんがビニール袋を膨らませて勢いよく「バーン!」と
割ると子供たちは一斉に悲鳴を上げて講堂にもどっていき、
パフォーマンスは終了。
「運動会」みたいになっちゃったと村井さん。
その場で行うパフォーマンスだからこそ味わえる予想外の展開も
また楽しいものとなりました。(G)
写真撮影:後藤武浩