地域連携と美術館への案内役“かかし”
美術館のある深川資料館通り商店街では、
毎年「かかしまつりが」開催(9月上旬)され、
住民手作りのかかしたちが商店街を彩り、
地域住民や通りを散策する人々の目を楽しませてくれます。
また、昨年、教育普及係のキャラクター「MOTちゃん」のかかしを
高校生ボランティアに作ってもらい、商店街に設置し、商店街と美術館を
結ぶ案内看板としても機能しました。
現在開催中の企画展「オバケとパンツとお星さま」では、
タイトルにも掲げているとおりこどもたちが好きそうな
「オバケ」「パンツ」「お星さま」がキーワードとなっています。
「オバケ」をアニメーション作家の松本力さんが、
「パンツ」を画家のはまぐちさくらこさんが担当しています。
そこで、今回のワークショップでは、参加者に展覧会をより親しみをもって
楽しんでもらうことと、美術館と商店街との連携を深め、商店街から美術館に
来館するまでの道案内もかねると同時に展覧会の宣伝効果も狙い、
松本さん(下写真右)、はまぐちさん(下写真左)の両名が指導者となり、それぞれが担当する
「オバケ」と「パンツ」をテーマに、かかしを制作しました。
(2013年7月13日実施)
今回参加してくれたのは、小学生以上のお子さんのいる18組の家族。
応募の動機をみると「家族でひとつの事に取り組める良いチャンス」
「こどもたちは“かかし”というものを知らないので、この機会に伝えたい」
「地元商店街に関われるのは、地域に暮らすものとして嬉しい」など、さまざま。
ワークショップでは、初めに展覧会場に移動し、松本さん、はまぐちさんの展示室で
それぞれから作品についてのレクチャーを受け、しばし作品鑑賞。
かかし作りのテーマとなる「オバケ」や「パンツ」のイメージを膨らませてもらいました。
次いで展示室から講堂に戻り、いよいよかかし作り開始。
はまぐちさん、松本さんも参加者にアドバイスやお手伝いを
しながら完成の行方を見守ります。
はじめは家族同士でどんなかかしにするか話し合うも、
様々な材料を用いながら手を動かしているうちにだんだんとかたちが明確になり、
お子さんの考えるイメージに近づけようと必死になっている親子もいれば、
親の方が真剣になって、お子さんよりも熱くなって制作に励む姿が見受けられました。
時折、松本さんはお得意の工作で段ボール製の帽子を作って、
かかしのアイテムを提供してくれました。
はまぐちさんも参加者一人ひとりに優しく声をかけながら、
よりかわいらしくするヒントを与えていました。
約3時間後、それぞれのかかしが完成し、参加者どうしでお披露目。
松本さん、はまぐちさんもそれぞれのかかしの完成度の高さにビックリしながら、
コメントをしてくれました。
終了後、参加者のアンケートをみると今回の満足度は100%!
「家族での良い思い出になった」「良い雰囲気でとても楽しめた」
「商店街のかかしはこれまでもみてきたが、今回は自分たちの手で
かかしを作れて楽しかった」「道具や材料も豊富でたくさんのアイデアが
浮かんだ。あっというまに時間が過ぎた」「作家の方たちと作品を見て
からかかしを作ったのでとても楽しくできた」などなど満足な様子が伝わってきました。
今回の美術館と地域連携のプログラム。
みなさんの作ってくれたかかしが橋渡しとなり、
商店街も美術館も賑わうとよいなと思います。(G)
写真撮影:後藤武浩