2012年06月30日(土)

"自分の見方"と"他人の見方"

ギャラリークルーズ

今年度2回目のクルーズは、小学校中高学年(4、5、6年生)を
対象に「MOTコレクション」を活用したギャラリークルーズを行いました。
(実施日:6月23日 土曜日)


題して「タイトル合戦!」。
今回の常設展3階の展示テーマが「作品の名前」、
つまり"タイトル"であることから、常設展示室内(3階)で自分の気になる作品や
お気に入りの作品をみつけ"オリジナルのタイトル"を付けてもらいました。


まずはタイトル付けの練習としてヤノべケンジの≪ロッキングマンモス≫を
みんなで鑑賞しながら思い思いのタイトルをつけてみました。
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次に、グループに分かれて作品を鑑賞しながら、各自思い思いのタイトルを
付けてまわりました。
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タイトルを付けた後は、グループ内で、各自のタイトルを見せ合い、
該当作品を思う浮かべたり、実際の作品を確認する作業をし、
代表のタイトルを選定。
その代表のタイトルを各グループに振り分け、グループ対抗で、
タイトルのみで相手グループの該当作品を探し出すゲームを行いました。


相手に探してもらうことから、すぐにわかってしまうようなタイトルは避け、
みんなの意見も加えつつ適度に難しいタイトルに修正しているグループも
見受けられました。
ブログ用4.jpg



結果、ほとんどのグループが不正解でした。
でも、該当作品と思われる作品の前で、なぜそう考えたのか、
選定理由を説明してもらうと、違う作品とはいえ、「ふむふむ、なるほど」と
これも正解にしてもよいのではないかという妙に納得してしまうシーンが
いくつも見られました。
ブログ用5.jpg


ブログ用6.jpg



今回のプログラムは、相手が付けたタイトルの該当作品を探しだし、
単に正解か不正解かを競うものではありません。
仮に不正解であっても、先述のように納得させられてしまうような
説得力ある説明がなされることで、「自分の視点で見ること」および
「他人の視点で見ること」この2つの視点を交錯させながら自分とは
違う新たな視点を獲得でき、探し出した相手も他人の付けたタイトル
(つまり相手の見方)を手がかりにすることで、共に作品の見方が
広がることをねらいとしています。


終了後のこどもたちのアンケートには、「タイトルを自由に考えるのが面白かった」
「ひとつの作品でもみんなの考えていることが違っていてとても面白かった」
「答えを聞いて、あー!とか、えー?とか思った」「相手のグループをだませたり、
当てることができ達成感を得た」「図工で作品の題名を付けるのに参考になりそう」
「みんなで作品の色々な面を探せ、観察力がついた」「当てっこするのが面白かった」
などの感想が寄せられ、今回のクルーズでのねらいは、こどもたちの中にも伝わり、
充実したプログラムとなったことが伺えました。


ちなみに、こどもたちが付けた作品タイトルとその該当作品をいくつか紹介します。(G)


●『お昼です♪』
エルズワース・ケリー《赤・黄・青》
赤が梅干し、黄が卵焼き、青は水筒のイメージから


●『スカイ・レッド・タン』
エリザベス・マーレイ《ワンダフル・ワールド》
 上の方が空のようなイメージ。全体の赤い感じ、そして舌(タン)が出ているような感じから


●『やみのゆうれい線』
アド・ラインハート《タイムレス・ペインティング》
 よく見るとうっすらと線がみえるので


●『頭からかぶったストッキング』
ロイ・リキテンスタイン《ヘア・リボンの少女》
顔のつぶつぶがストッキングをかぶっているように見えるから

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