2010年09月25日(土)
“病院”が育つということ
MOT美術館講座
「こどものにわ」に関連したMOT美術館講座2回目は、
医師の山口悦子さんをお迎えし、
「おもろい病院の作り方 こどもにとって、本当によい環境とは?」と題し
お話をうかがいました。
山口さんが勤務する大阪市立大学医学部付属病院では、
2003年頃より本格的に病院内にアートプロジェクトという
概念を持ち込み、さまざまなプログラムやイベントを実施しています。
山口さん自身、以前は小児科医という立場でしたが、
今は、“病院のお医者さん”という病院内の安全管理を司る立場で
お仕事をされています。
病院とアートといってもそれは単なる癒しやセラピーのようなものではなく、
「アーティストと患者さんたちの真剣勝負のようなもの」と、山口さん。
実際に取り組まれてきた様々な興味深い事例を紹介していただきました。
初めは山口さんら小児科医を中心に小児病棟のこどもたちに向けた
プログラムを行っていました。そのうち、大人の患者さんにもやってほしいと
内部職員からのリクエストを受け、大人のプログラムも実施するようになったそうです。
そうする中でだんだんと病院内の職員の意識も変化し、
今では患者さんたちの度肝をぬかすような「おもろい」ことを
仕掛ける病院をめざして医師、看護師、そして事務方の職員が
一体となってこのアートプロジェクトに取り組んでいるとのこと。
これは単なる面白おかしい、おふざけではなく、
治療一辺倒の病院生活をいかに豊かな生活に変えていくかという
病院の前向きな姿勢のありかたのように思いました。
病院もどんどん成長し、患者さんらの笑顔とともに育っていくのだと感じました。(G)