2008年03月09日(日)
岡本太郎の中のメキシコ
MOT美術館講座
MOT美術館講座も第2回目となりました。
今日は川崎市市民ミュージアムの
仲野泰生さんをお迎えしました。
仲野さんは川崎市岡本太郎美術館に長く勤務され、
岡本太郎とその時代について
丁寧な調査と研究を重ねてこられた方です。
今日はその広い見地をもとに、
「岡本太郎の中の何がメキシコの何と共鳴したのか?」
という問いに沿ってご講演いただきました。
お話の途中には、
太郎も見たであろう古くて貴重なメキシコの映像も紹介されましたが、
そこに映されていたのは、
「死者の日」に楽しそうに骸骨のモチーフと戯れる人々。
(骸骨の形をしたジョッキでビールを飲んだり、骸骨のダンスをしたり。)
メキシコで描かれた岡本太郎の《明日の神話》の中央に
なぜかくも堂々たる骸骨が描きこまれたのか、
その理由の一端がわかったような気がしました。
メキシコ美術が日本のアーティストにおよぼした影響、
メキシコとシュールレアリスムとの関係など、
当時の様々な美術・社会状況も鮮やかに浮かびあがり、
岡本太郎を通して、戦後美術の課題が浮き彫りにされた
盛りだくさんの1時間30分でした。
仲野さん。ありがとうございました。(C.M.)